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地雷注意 ゆっくりぷれいす おなかが、すいたよ。お外で、あそびたいよ。 おねだりをすると、お母さんがいやなお顔をする。 だから私は、そんなことは言わなくなった。 お姉さんたちとおなじくらい、ごはんがたべたい。 お姉さんたちとおなじくらい、お外であそびたい。 おなじことをすると、お母さんにぶたれるので、しなくなった。 いたいよって言うと、もっとぶたれる。 かなしいよって言うと、もっといやなお顔をする。 だから私は、いつもお顔を、にっごりとさせている。 私は、お母さんも、お姉さんたちも、みんなが好きだ。 お母さんも、お姉さんたちも、ほんとうはみんな私のことが好きだ。 だって、かぞくだもの。 だって、かぞくだから。 私にはお母さんがひとりしかいない。 よく知らないけれど、お姉さんのおともだちのまりさや、れいむは、 お母さんがふたりいるみたい。 お母さんに、お母さんはひとりしかいないんだね。と、言ったことが ある。 お母さんのお顔がゆがんで、ああ、またぶたれるんだなと思ったら、 きゅうになきだした。 私もかなしくて、ごめんなさい、ごめんなさいと、お顔をゆがめてあ やまった。 うれしいお顔をずっとしているから、こんなときどんな顔をすればい いのか、思いだせない。 いちばん上のお姉さんはまりさお姉さん。 私が生まれたときには、もうお姉さんだった。 だから、妹の私たちより、ずっと大きいお顔。 つぎに上のお姉さんは、れいむお姉さん。 とてもよく似たふたごで、そろいのおりぼんが、とってもきれい。 お母さんにお姉さんがさんにん。 これが、私の大すきなかぞく。 れいむお姉さんたちは、とてもいたずらがすきみたい。 まりさお姉さんがいないところで、よく私にいたずらをする。 かみをひっぱったり、おかざりを取ったりする。 私は、やめてとも、いやだとも言わないから、いつもやりすぎて、ま りさお姉さんにおこられる。 そうして、ふたりとも私をにらんだりする。 そんなとき、まりさお姉さんは、悲しそうなお顔をする。 いやだ、って言えばいいんだぜ。そう言いながら、悲しそうに、私をぺ ーろぺーろしてくれる。 私はべつに、いやじゃあない。 もう、ずっとだから、何がいやなのか、何がすきなのかも、良くわから ない。 こうしてまりさお姉さんに甘えていられるし、あれ、でもそれって私が すきなことなのかな。 よくわからない。 れいむお姉さんたちは、れいぱーのこどものくせに、と言う。 お母さんがそう言ったのだそうだ。 「れいぱー」が何なのかはわからないけれど、ゆっくり出来ない感じが する。 でもみんな私が好きなのだから、そんなことは関係なく、とてもゆっく り出来るはずなのだ。 いつものようにお顔をにごにごとしていると、れいむお姉さんたちは一 緒に遊んでくれるのだ。 大切な家族。 ごはんを食べていないからかな、とても眠い。 気がつくと明るくて、ぼーっとしてるともうお休みのじかん。 だからおなかも、あんまりへらない。 お母さんに、かってにごはんを食べる子はおしおきだよ、とすごくおこ られた気がするけど、それもよく覚えていない。 れいむお姉さんたちが、うれしそうなお顔で私を見てる。 ああ、きっとお姉さんたちだね。 しあわせー♪ 、できたのかな。 私はごはんを食べて、しあわせー♪ した思いでが、ない。 だから、お姉さんが私のかわりにしあわせー♪ できるなら、それはイ イコトなのだと考える。 その日から、ごはんがほんとうに少なくなった。 私だけじゃなく、かぞくみんなの食べるものが、もうないみたいだ。 冬のために、たいせつにとっておいたごはんも、無くなった。 お母さんはまいにち、かりに出かけるけれど、お姉さんもてつだってい るけど、私はてつだえなくて、みんなにおこられる。 お外に出たことはないし、むしさんはゆっくりしていないし、何がおい しいものなのかもよくわからなくて、まりさお姉さんのうしろで、気がつ いたらもう暗くて。 れいむお姉さんたちは、私をずっとにらんでいるし、ごはんを食べたの はお姉さんのはずなのに、でもみんな私がひとりでしあわせー♪ したっ て言ってる。 そうだったっけ、でもみんなが言うなら、そうなんだろう。 大すきなかぞくが、うそを言うはずがないもの。 あたまが、おもい。 とても、さむい、あさ。 さむく、くらい、あさ。 お母さんが、ふたりでゆっくりぷれいすに行くよ、と言った。 でもそこは、ゆっくりできるけど、ゆっくりできないゆっくりぷれいす なんだとも言った。 よくわからな、かったけれど、お姉さんたちといっしょに行きたいけど、 でもお母さんとふたりだけみたい。 お姉さんたち、付いてきたいって。けど、お母さんがこわいお顔をした ので。 れいむお姉さんたち、私をにらんで。 つめたいみちを、お母さんの後ろ、だまってついて、く。 ふたりで、くのがうれしくて、ついおかあしゃ、つぶやいて。 風がぴりり、音を立てて、こおりついた。 お母さんは、ゆっくり歩くの、やめて、振り返らない。 「イラナイコ」、いう。 あるひ、授かったけど、かわいくない、ゆっくりできない、「イラナイ コ」、という。 やく、立たないし、どんどんゆっくりできなく、なる「イラナイコ」。 おもいだ、すと、かなしく、て、くやしくて、れいむの、かわいい子、 はずなのに、おまえみたいな。 やっぱりよく、わか、ないだけど、とてもゆっくりない、ことだと思う。 でもそんな私、育ててくれるお母さん、とても、ゆっくり。 きっと、あいされて、る。 あさ、くらい、つづく。 お母さんがかくれた、まね。 ゆっくりぷれいすついた。 人間さん、いるかも、いう。 見つかったら、ゆっくり、もらいなさい、という。 ゆっくりぷれいすで、あそべる、とてもゆっくり。 おやさいさんとって、わたす。 お母さんは、うっめ、これめっちゃうっめ、と。 食べるもの、なかったから、しあわせー♪ してくれ、と、ゆっくりで きる。 かさりと立てて、お姉さんたち、くる。 お母さんおこる、ど、みんなむーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪ まり、ねー、いな、い。 おやさ、でてなくて、土さん、ほるのに、かかる。 ぜんぜ、たりないよ、ぐずだ、はげましれる。 おおき、こえ。 おばらだでじ、とか、ふといおと。 にんげ、さん、うれしい、あそん。 にんげ、さ、あそぶは、じめて。 きっと、ゆっく。 ユック、って、なんだ、け。 あさ、くらい、みんな、くらい。 にんげ、さ、おどろいて? にんげさ、ん、ふえて、そろーりそ、とおかあさ、なぐっ。 おかあさ、おねーさ、ゆっく、やべでで、と。 わたし、は、やべでね、おがあざ、じめるの、やべでで、おかお、えがおする。 えがお、なんだ、け。 「でいぶから生まれたぐぜにゆっぐりでぎない子はにんげんさんにあげるよ! だがらでいぶをだずげ……そっじの子じゃだいいいいい! やべでえええ!」 「おがあざあああ!! おがああああざああああああ! ゆっぐりでぎない にんげんざんばゆっぐりじぎゃああああ!」 「あんなゆっくり出来ない子はゆっくりじゃないもん! 『イラナイコ』、れい ぱーの子供なん……ゆぎゃああああやべでえええええ!」 おかあさ、おねーさ、の声で、くらい朝だけど、すこし明るい。 だいすきな家族をいじめる、な。 にんげんさんはお母さんもお姉さんたちもいじめる悪いにんげんさん。 お手てやお足をいっぱいにのばして、おもいきりたたきつける。 お母さんはこれをすると、とてもきもちが悪くなるので、でも今こうしないと お母さん。お母さん。お姉さん。 「じぢぢがいばずう……ざらっだんじゃ、あ、ありまぜん……げふっ! 人間ざん に……ばでぃざど大事だおちびじゃん……づぶざれで、無理やりずっぎりーざぜら れで……にんっじんじだんで、ずう……。でぼあんだ変だど、でいぶのごどぼのは ずがだいどおお!! お飾りはないし、お手てもお足も変だし、ごぼっ、ごっ! あいづどぜいで、ゆっぐりでぎだい……あいづざえいだげでば……あいづ……ざ え……全然ゆっぐりでぎなっ……がっ……」 きがつくと私は大きなにんげんさんにかこまれて、こわくて、みんなこわいお 顔で、どこかかなしそうなお顔で、それはまりさお姉さんのようなお顔で。 その中のおねえさ、が私だきしめて、かわいそな、ふびんな子と泣いて、でも 私はとてもこわくて、おかあ、さ、おねー、さ、わたし、大すき。 かぞく、だもの。 わたし、たち、かぞく、もの。 おかお、こびりつ、て、うごか。 きゅうに、よるみた、くらなっ、けど。 あ、ここ、あったか、ねえ。 ゆっく、ぷれいす、ねえ。 しあわ、せ、……♪
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町ゆっくりの食料事情 6KB ・秋コンペの没ネタ お題を推測して2~3本小ネタ書いてたけど、全部はずしちゃった。 また一から練り直しだー。 ・小ネタ・単品という普段やらない形式で行きそうだったので、 普段使いどころの無さそうなネタをひねりだしてみました。 『町ゆっくりの食料事情』 D.O 脆弱かつ本能に忠実なゆっくりに対して、世界は常に厳しい。 中でも、人間にとってのみ都合よく整備された『町』は、 四季を通じてゆっくりを絶望的な環境に追い込み続ける。 町では、ゆっくりを追い詰める存在には枚挙いとまがない。 あんよを痛める舗装道路、全ての饅頭を蹂躙する巨大なすぃー、そして人間さん。 だが、特に絶望的なのが、食料事情であった。 冬どころか、四季を通じて自然の恵みはほとんど存在せず、 わずかな草地や、生ゴミの多く出るゴミ集積所を求めて熾烈な縄張り争いが行われる。 町で生まれた野良ゆっくり達には安息の日は訪れないのだろうかと思われた。 だが最近、町ゆっくりの食料事情が多少改善される変化があらわれはじめた。 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー。」」」 まりさ一家は、今日もごはんを無事手に入れることができた。 「おきゃーしゃん、しゅうまがさんはぱりぱりしちぇ、とっちぇもゆっくちしちぇるにぇ。」 「ゆぅ、でもしんぶんさんのほうがおみずによわいから、さきにむーしゃむーしゃしようね。」 「「ゆっくちりきゃいしちゃよ!」」 ・・・・・・町のゆっくり達が今食べているのは、古新聞や古雑誌。 全ては、食料争奪戦についていけなくなり空腹に苦しむ一匹のぱちゅりーが、 最近町内でオープンしたとある店の前で、甘党お兄さんに偶然出会ったことがきっかけであった。 「むきゅ・・・お・・・おにーさん、なにたべてるのぉぉお!?」 ・・・・・・。 「何って、クレープだよ。」 「か、かみさんはごはんじゃないわ、むきゅ?」 「(紙って・・・)うまいぞ。ちょっと食ってみるか?」 ぴり。ぽいっ。 「む、むきゅ・・・むーしゃ、むーしゃ。・・・・・・し、し、し、しあわせー!」 それから2週間後、紙を食べるゆっくりは町中のいたるところで見ることができる様になっていた。 一体どれだけのゆっくりが、クレープと紙を勘違いしているかはわからない。 ゆっくりがいくら思い込みに感覚を左右される饅頭とはいえ、おそらくは最初のぱちゅりーくらいであろう。 しかし、勘違いはともかくとしても、紙自体はとてもゆっくりした食料だった。 野生時代は草ばかり食べていたゆっくりの、本能を刺激する味と食感。 薄っぺらくて、水でぬらすと柔らかくなり、非常に食べやすいこと。 生ゴミと違って保存も利くこと。 さらに、多少散らかしても人間さんも大目に見るし、紙製のゴミなどそこらじゅうに転がっていた点も魅力であった。 以前は防寒用だった新聞紙さんや段ボールさんも、今では非常食として重宝している。 公園では野良ゆっくり達が集まってワイワイと何かやっている。 中央にいる数匹は、何やら目隠ししながら紙ゴミを食べているようだ。 「わかるよー。かめばかむほどこくがでるなかに、さわやかなかおりがひろがるよー。 これはしっぷさんのあきばこだよー。」 「ゆぉぉぉぉおおお!!せいかいだよっ!」 「すごいよ、またせいかいしたよ。」 「さすがは『ぼーるがみのちぇん』だみょん。」 「むきゅぅ、つぎはこっちよ。むーしゃ、むーしゃ。 むきゅっ!このかるいしょっかんとにがしょっぱいあじ、それにいかさんのにおい・・・これは、てぃっしゅさんね!」 「ゆぉぉぉぉおおおお!!!またせいかいしたよ!!」 「さすがは『かみそむりえのぱちぇ』だみょん。しょうぶがつかないみょんね。」 ・・・ゆっくり達がやっているのは『利き酒』ならぬ『利き紙』。 どちらの味覚がより優れているか勝負しているようだ。 野良ゆっくり達は、大量の新しい食料を手に入れることで、 食事を、生命をただ明日へつなぐためのモノから、一つの娯楽へと高めることに成功したのだ。 とある他の公園では、ご近所の人間さん主催による新聞紙大食いバトルが行われている。 「はふっ、はふっ、めっちゃうめ!まじぱねぇっ!」 「おきゃーしゃん、がんばっちぇ~!」×5 「ゆうしょうはれいむだみょん!あっとうてきだみょん!しょうひんは、でんわちょうさんだみょん!」 「ゆふぅーん。おちびちゃんたち、きょうはおなかいっぱいむーしゃむーしゃしようね!」 「ゆっくちー!ゆっくち!!」×5 「・・・・・・面白えなあ、ゆっくり。」 一方別の広場では、特に味の良い紙と生ゴミ等を交換する、美味紙オークションが行われている。 「つぎはこの、ぎゅうにゅうぱっくさん3たばなのぜ!」 「ゆゆっ!ありすはきのうひろった、とかいはなおべんとうさんをだすわ!」 「それじゃあちぇんは、ふかふかのたおるさんだよー!」 「まりさはたおるさんとこうかんするのぜ!!」 「わかるよー!」 「ゆぁーん、みゃみゃー。ありしゅ、ぎゅうにゅうぱっくしゃんがたべちゃいわ。」 「ごめんねぇ、おちびちゃん。いなかもののおべんとうさんでがまんしてね。」 今はゆっくり飽食の時代。 はたしてこの、ゆっくりした生活はいつまで続くのであろうか。 食料の量に町ゆっくりの数が追いついたとき?それとも・・・・・・ 「・・・・・・ねぇ、ゆっくり。お前紙とか食ってるけど、うまいの?」 「む、むきゅん!かみさんはとってもあまあまなのよ!おにーさんもたべてるでしょ!?」 「んなわけねーだろ。何と勘違いしてんのやら。むーしゃ、むーしゃ。」 そう言ったお姉さんの手にはクレープ・・・ 「いや、餃子の皮とか紙に似てるけどさぁ。あとコレとか。」 「む・・・むきゅぅ?・・・おにいさんが、かみ・・・?むきゅ・・えれえれ・・・・・・」 最近、何描いても誰かとかぶっているような気がしてなりません。 このくらいのネタだと、誰かが書いててもおかしくない気がするんですけどねー。 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ プラス本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 翌年 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ) D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 再生紙は最大手紙器業者すら赤字になるくらいコスト莫大なので、なんでも食うゆっくり は業界の救世主だよ・・・。 -- 2017-10-24 13 44 38 再生紙が作れなくなって紙資源が枯渇するぞ。 そんなこともわからないのか…ばかなのしすの? -- 2014-05-03 12 50 37 思い込みの力ってすごいね -- 2012-12-29 12 10 46 紙食べてさせて>うんうん・しーしー集めて> バイオ燃料の材料と絞りかすは肥料にして木材用の樹木の栄養 木材>紙>ウンシー>燃料・肥料 これ・・・すごくね? -- 2012-08-12 12 29 51 栄養にならんだろあっ!そうかゆっくりの何でも餡子に変換する能力のおかげか -- 2012-07-11 14 51 38 いかさんのにおいwww -- 2012-04-21 17 21 46 あんまり紙食べ過ぎると、再生紙とか作れなくなるんじゃ、とか思ったりする -- 2010-10-10 04 08 24 面白いです。そのうち誰かが入れ知恵して空き缶なんかも食べちゃうんじゃ・・・。 紙を食べ物と思いこんでるゆっくりから良いやつだけ抜き出し古紙ポストっなーんてね -- 2010-08-13 21 26 46
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澄み切った秋空のもと、一人の男が、手に持った、三つのクラブで、ジャグリングしている 男の足元には、親ゆっくりれいむに連れられた、子ゆっくりれいむ三匹が、男の芸を見て歓声を上げている 「ゆ~!おじさんとってもすごいよ!」 「ゆぅ!すごい!!すごい!!!」 「とってもゆっくりしたわざだよ!」 「おじさんとってもかっこいいよ!」 男は、ゆっくり達の反応に、気を良くすると、クラブを四つに増やして、再びジャグリングし始める 「ゆ!ひとつふえたよ!」 「ゆっゆ!さっきよりすごいよ!」 「たくさんしろいのがとんでるよ!!」 「すごい!すごいよ!」 男がジャグリングを止めると、れいむ親子は、飛び跳ねながら、凄い、凄いと、男を褒め称える 男は、れいむ親子に向かって、笑いかけると、小さな観客達の、柔らかい頭を優しく、人差し指と、中指で撫でてやる 「ゆぅ~♪とってもきもちがいいよ!」 「おじさんはやさしくてゆっくりしてるね!」 「ゆっゆ!くすぐったいよ~♪」 「おじさんならここでゆっくりしていっていいよ!」 男に優しくされて、満足げなゆっくり達は、にこにこと笑っている 男も、ゆっくり達に向かって笑いかけているが、その笑みは、ついさっきまでの、自分の芸を楽しんでくれた、観客に向ける類のものではなく 子供が、新しいおもちゃの、楽しい遊び方を思いついた時に浮かべる、純粋で、故に残酷な笑みだった 男は、子供たちを怖がらせないように、左手で、そっと子れいむを摘み上げては、優しく右手に落としていく 子供達は、摘み上げられている時は「ゆゆ!おそらをとんでるみたいだよ!」と喜んでくれたし 親ゆっくりも、男を信頼して、子供達の嬉しそうなはしゃぎ声を聞いて、ゆっくりしている 男は、全ての子ゆっくりを手にすると、立ち上がる 「ゆぅ!!とってもたかいよ!!!」 「ゆゆ!!!とおくまでたくさんみれるよ!!!」 「ゆゆゆ!!!!ちょっとびっくりしたけどゆっくりできるね!!!」 子供達の、楽しそうな声に、親れいむはとても嬉しそうにしている 「おじさんはおかしもってないけどすっごくゆっくりしたひとだね!!!」 「おじさんのおててはとってもあったかくてすごくゆっくりできるよ!!!」 「そうだよ!ごつごつしててとってもあったかいよ!!」 「ゆ~♪おじさんのおててがあったかいからしばらくおひるねするよ…」 男は、おもむろに、寝そうになっている、子ゆっくりを左手に移すと、高く放り上げる、右手に乗っている子ゆっくりを一匹、左手に投げる そう、男は、子ゆっくりでジャグリングを始めたのだ 「おそらをとびゅ!!!!」 「ゆ!ひゅ!!!!」 「ゆぎゅっ!」 子れいむ達は、高く放り上げられ、ごつごつした掌に叩きつけられると、もう片方の手に投げられる そしてまた、放り上げられる、顔面を掌に叩きつけられる痛みに、子ゆっくりは悲鳴を挙げる 「ゆゆ!!おじさんれいむのこどもがいたがってるよ!!!ゆっくりやめてね!!!!!」 親れいむは、子供たちの叫びに、ぴょんぴょん飛び跳ねながら、騒ぐが、男はジャグリングを止めない 子れいむ達は、その間も、男の掌の上を舞いながら、徐々に、しかし確実に、命を摩耗させていた 掌に叩きつけられる、もう片方の手に、子れいむ達は素早く投げつけられる、そして、高く放り投げられ 滞空時間が過ぎると、激痛とともに、男の掌という大地に、再び叩きつけられる、これのくり返し 子れいむ達には、所々に打ち身の痣ができ、真っ白い皮には黒く餡子が滲んでいる 叩きつけられる度に、体の中の餡子が潰れていく 最初は、痛みに悲鳴を上げて苦しんでいた、子れいむ達だったが、今では、弱弱しく呻き声を上げることしかできない 親れいむは、しばらくは、ぴょんぴょん飛び跳ねながら男に抗議をしていたが 子供達の悲鳴が徐々に小さくなってくると、泣きながら体を膨らませて、体当たりをしてきた 「ゆっくりやめてね!!ゆっくりやめてね!!!!」 男は、素早く、親れいむの体当たりを避けると、親ゆっくりの口に蹴りを入れる 「ゆっくりやびゅゆっ゛!!!!!!!」 親れいむは、口から、白い歯と、餡子を吐き出しながら、痛みにのた打ち回る 男は障害を排除すると、先ほどよりペースを速めて、子れいむ達をジャグリングする 男は、手のひらに感じる、子れいむ達のジャグリングされる前と、後の感触の違いを楽しんだ 子れいむ達は、さっき、頭を撫でてやった時より、総じて皮がたるみ、中の餡子が柔らかくなっている それに、子れいむ達は、ジャグリングされる前より、ずっと暖かくなっていた、皮もしっとりと湿って、汗をかいているかのようだ 叫び声も、最初に比べて小さくなり、意味のある罵倒や、謝罪から、意味をなさない呻き声に変わっている 「ひゅ…ひゅひゃひぇひゃめてふぇ(ゆっくりやめてね!!)!!」 ふと気がつくと、親れいむが、こっちに向かって、跳ねてくる 男に、口に蹴りをいれられたせいで、歯は折れ、口は大きく横に裂け、正常な発音が出来なくなっている、そして傷口から餡子が漏れ出しているが、親れいむは止まらない 親れいむからすれば、自身の傷より、男の掌で苦しめられている、我が子を助ける方が、大事なようだ そんな、親れいむの子供への、ひたむきな愛情に感動した男は、ジャグリングを止めると、子れいむ達を親れいむの傍に、ゆっくりと置いてやる 親れいむは、子供たちに「ひょうだいひょうふだよ!!(もうだいじょうぶだよ!!)」などと言っている、…果たして本当にそうだろうか? 男のジャグリングから解放された、子れいむ達は、顔を真っ赤にして、頬を膨らませて、、痙攣しながら、何かに耐えている 親れいむが心配そうに、一番小さな子れいむの身体に頬擦りした瞬間、その小さな子れいむの我慢は、限界に達した 「ぅ…ゆぅべぇぇ!!!!!うぇっゆうぇぇぇ!!!!!!」 「ひゅ!!!だひぇだよ!!!ひゅひゅりひゃめてね!!!!(ゆっ!!!だめだよ!!!ゆっくりやめてね!!!!)」 盛大に、口から餡子をリバースする子れいむ、小さな生首饅頭が、口から餡子を吐き出しているというのは、傍目から見れば非常に滑稽な画だ しかし、当のゆっくりからすれば、命にかかわる一大事だ、ゆっくりにとって、体の中の餡子は、血であり、骨であり、内臓であり、脳である そんな大事な餡子をまだ小さな、子ゆっくりが大量に吐き出すことは、即ち、死を意味する 妹の盛大な嘔吐につられて、姉たちも自分達ゆっくりを形作るうえで、最も重要な部分を口から吐き出していく 「ぅぅ…!!!うびゅえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「ゆぅぅ!!!!う…ゆぅひぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 「ひゃめひゃよ!!!ひゃんこをひゃふゅとふゅっくりひぇきなひゅなるひょ!!!!!(だめだよ!!!あんこをはくとゆっくりできなくなるよ!!!!!)」 子れいむ達は、餡子の嘔吐を止めようとするが、体の奥からせり上がってくる吐き気に勝てない、自分の意思に反して、餡子を吐き続ける 餡子を吐くうちに、子れいむ達の意識は朦朧としていく、親れいむの泣き声も、姉妹の呻き声も、意識から遮断されていく ただただ、苦しい、吐くたびに体が失われていく損失感、ついさっきまで、熱を持っていた身体が急速に冷えていく 途中まで聞こえていた、安心できる何かはふいに聞こえなくなり、視界もだんだんぼやけていき、最後には真っ暗になった 三匹は、其々、音のない闇の中で、寒さと苦しさに体を蝕まれ、傍に親が、姉妹がいながら、孤独に死んでいった 親ゆっくりは、泣きながら子供たちに頬擦りをしている 「ゆぅぅ!!!!おひょて!!!ゆひゅふぇしひょうよ!!!!(ゆぅぅ!!!おきて!!!ゆっくりしようよ!!!!)」 親ゆっくりを哀れに感じた男は、履いていた革靴で、親れいむを思い切り踏みつける 「びゅひゅ!!!!」 口の傷口がさらに広がり、そこから餡子が溢れ出す、親れいむはぴくぴくと痙攣をしながら、呻き声をあげている その場で、親ゆっくりを何度も踏みつけて、完全に息の根を止める 一仕事終えた男が、腕時計を見ると、9時を十分ほど過ぎた所だった、男は、次のサーカスの公演は、剣とかチェンソーじゃなくて、ゆっくりをジャグリングしたいな 失敗しても怪我をしないし、ジャグリングの終わった後の、ゆっくりの嘔吐シーンは、十分笑いがとれるものだ、一度団長に相談してみよう、と思いながら帰宅した 男の後ろでは、物言わぬ四つのゆっくりだったものが、早速、蟻にたかられていた 作:ゆっくりな人 以前書いた虐待 ゆっくりカーニバル 臭い付きゆっくり(上) 臭い付きゆっくり(下) ゆっくり移植 きらーうーぱっく 教育!田舎ゆっくり このSSに感想を付ける
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※幻想郷はすでに外界(特に日本アルプスの近く)にさらされているとの設定でお読みください。 ※他の人の設定・パロディが多いです。そういうの嫌いな人注意。 「こんにちは。ゆっくりしていってください。」 その図書館の主、ゆっくりぱちゅりーが言った。 祖父いわく、今はゆっくり種と共生を始めて100年がたつという。 祖父は「あんな害獣と共生?駆逐の間違いじゃないのか?」とも言った。 さて、ゆっくり種は基本山中に住んでいる。 そのことについても祖父は「きっと人間を殺そうとしてんだよ」という。 祖父は、現役の農夫だったころゆっくりの駆逐を成功させたメンバーの一人であった。 幻想郷の人里にはゆっくりがいなくなった。 森にも川にもいない。ゆっくりは絶滅した。 そう思っているときに日本政府が「ゆっくりとの共生」を政策として打ち出したせいで祖父はキレてしまったのだ。 ちなみにゆっくりを1匹殺したせいで祖父は監獄生活を謳歌している。 「…そんな矛盾があったんだけど、そのことについての本はありませんか?」 私はゆっくりぱちゅりーに尋ねる。 「ああ、でしたらこの本がいいでしょう。差し上げますよ。手書きの原稿ですから読めないかもしれませんけど…」 彼女は主に人向けのゆっくりについての本を書くことで生計を立てている。 図書館には彼女の本で2棚埋まっている。3年くらいしか物書きはやってないらしいが、この量を書けるとは。 きっとその金がだぶついた部分を彼女以外の本の購入に当てているのだろう。献身精神がうらやましい。 …話がずれたが、その原稿は彼女の最新の本、「ゆっくりの歴史」の原稿だった。 「ありがとう。あとこの二冊借りていきますね。」 手早く手続きを済ませ、我が家に帰っていく。 「…さて、次の本は久しぶりに恋愛小説で…」 去り際に聞こえた彼女のハスキーな声で、彼女がどういう内容で書くかは大体想像できた。 せっかくもらったんだ。脳内の矛盾をただすために読むんじゃなくてゆっくりを理解するために「読破」するんだ! そう思って私は寝ころびながら丸い文字に目を通し始めた。 {~第一章 魔法の森のゆっくり~ 私は伝聞でしか知らないが、魔法の森はゆっくりのすみかにちょうど良かったらしい。 山の上で生まれ、山で育った私たちとその祖先には理解もできない話だが。 さて、代々私の家系に著書のネタを持ってきてくれたきめぇ丸(126)さんによると、 「森は強権者が独裁する地域だった」そうである。 彼女は新聞屋をやっていたので、このことは山のゆっくりにはすぐ伝わった。 この本の執筆に関して、きめぇ丸さんに当時の記事をいただいたので、ご厚意に甘えて載せさせていただく。} へぇ…まず祖父が駆逐したゆっくりと今いるゆっくりとは違うってことか。 あときめぇ丸さんは意外といい人だなあ。新聞の押し売りがなければ。 そう思い、次のページへと目を向ける。 {野蛮な森のゆっくり ※連載小説でないことを断っておく。 私きめぇ丸は、人里に新聞のネタを採集しに行った際に、魔法の森を通った時、森のゆっくりの虐殺による人民統制を目撃した。 以下がその写真である。 (筆者注:原典にはここに大量のゆっくりみょんを虐殺するゆっくりまりさの写真が貼ってあったのだが、全年齢向けの本であること、現在生きている上の二種類への冒とくとなることを考え白ぬきにしていることをご了承していただきたい。) 私はオフィスまで死にかけたゆっくりみょんを運び、事情を聞き出した。 彼女が言うには、 「巨大なまりさがみょんのコミュニティに襲いかかってきたれみりゃを追い払った」 「その際にリーダーが死んだのでそのまりさがリーダーになった」 「まりさは『ぜい』というものとして毎日食料を貢ぐことを全員に強制した」 「リーダーは絶対なので一生懸命働いた、貢がずに処刑されたものもいた」 みょんはここまでは普通だという。すでにおかしいと思うが。 言葉通り、さらにおかしいことが起きるのだが。 「ある月のない夜に、まりさとありすが逢引きをしていたら、次の日からリーダーまりさがありすをすべて処刑し始めた」 推測するにリーダーの息子だったのだろうが、それなら一家根絶でいいだろうに。 このみょんはその時の処刑役を任されたが、リーダーは高笑いしていたという。 「とんでもないものをリーダーにしてしまった」 「このままじゃあまりさ以外のみんなが死んじゃう」 「山には憎しみあわないゆっくりがいる」 それを知っていたみょんは夜に逃げ出し今に至っている。 (ちなみに写真のみょん種一斉処刑は逃げ出した1日後に始まった。 リーダーまりさの「1匹足りない」という言葉を盗み聞けたので間違いない) 怪奇ゴシップにも思えるかもしれないが、これは事実である。 これを読んでいる皆さんも、地上に買い出しに行った時には魔法の森には近づかないでほしい。 (原典:文文。新聞 分家 315号 (太陽暦で)1912年3月11日) 原稿と本の体裁上、上の一記事分しか載せられないが、この後に、れいむ種、ちぇん種、ゆかり種、さくや種と(難癖をつけられての)虐殺が続きこれでもともといたのはまりさ種とぱちゅりー種しかいなくなったという。 そして救出されたみょんの願いもあってきめぇ丸さんが一人でリーダーまりさを陥落させたらしい。ゆっくり史上最初の事件である。 (ただし人間からの虐殺は前に存在する。それらは地上のゆっくりが悪いので入れないことにする)} きめぇ丸さん本当にいい人。押し売りがなければ。 それと森のゆっくりと言われているやつらのあさましさがよくわかった。 祖父が殲滅したのはこいつらだろう。 ページを進めよう。 {次にあった事件は1952年の「青い石」事件である。 れいむ種の家族が人間の住み家にあがりこみ、放射性元素(ただし推測。私の学者仲間には有毒ガスというのもいる)でできた石を巣へと持ち込んだ。 ゆっくり唯一の臓器「あんこ」を放射線に侵され、居候のまりさが脱走して逃げた以外は巣で全滅し、そのまりさは「ゆっくりできない死臭」を振りまいているせいで投石による殺害が行われた。また好奇心の強いありす種が巣に入って死亡した。 その後巣は「ゆっくりできない場所」として成体まりさが封印し、近づかないようにさせたが、投石部隊と見張りは既に放射性物体になっていたので殺害され、ループが長く続いた。 森のゆっくり単体としてはこれで事件はなくなる。 ちなみにこの後1年後駆逐される。 さて次の章は水辺のゆっくり編とさせてもらおう。} なるほど。 危険物の危険の程度がわからないというのだろうか。 放射線特有の恐怖というか。 今日は眠いので続きは明日にしよう。 続く =========================================== ゆっくりの歴史を創作してもいいんじゃないかと思い。 「いじめスレ」と「愛でスレ」に同じ題材で 投稿しようとしたのが間違いだった。 もったいないので二つを混ぜて投棄場にうp。 青い石事件は「ゆっくりいじめ系149 ゆっくりと青い石_前」が元ネタです。 正直最初からまともなSSを書こうと思わんほうが良かったかも。 続き ===================================
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・季節のイベントには乗っておくべきかと。 『ゆっくり向けの節分』 D.O 今日は節分の日。 幼稚園や小学校では豆まき行事が行なわれ、 商店でも軒並み、節分関連グッズが店頭に並ぶ。 そうは言ってもさすがに、一人暮らしのいい大人が自宅で、 ペット相手に豆をまいたり一緒に豆を食べたり、というほど面白い行事でもないのだが。 だが、今回舞台となる古い木造アパートの2階ではそんな、 涙無しには見ていられないことをやっていたりする連中がいた。 「はっはっはっはっは!!鬼は―外ー!!」 じゃららっ!!! 「ゆぴぃぃ!やめちぇにぇ!ゆっくちできにゃ『ぺしぺしっ!!』ゆぴぇ!」 2部屋と台所しかない室内で豆を投げているのは、Tシャツにトランクス姿のお兄さん。 一方家中追い掛け回されながら豆をぶつけられているのは、 生まれた直後に拾われ、約一ヶ月の間お兄さんに育てられてきた子れいむだ。 子れいむは理由がわからなかった。 拾われてから今までずっと、ゆっくりと育ててくれていたお兄さん。 今日はいいものをあげよう!と言ってくれたのは、ゆっくりすいか扮装セットだった。 子れいむはその、ゆっくりしたプレゼントに喜び、奥の部屋で子すいかに扮装した。 そして部屋から顔を出したと思ったら、いきなり硬い豆が飛んできたのである。 「はっはっはっはははははー!!鬼は―外ー!!鬼は―外ー!!」 じゃららっ!!! 「ゆぴぃぃ!やめちぇー!ゆっくちしちぇにぇ!ゆっくちしちぇぇぇええ!」 それから約10分後。 家中豆だらけになり、子れいむが逃げ疲れてぐずるだけになった頃、 豆まきは終わった。 「ゆぇ・・・ぅっくち・・・。」 「はっはは!すまんすまん!今日は節分だからな!ちょっとやりすぎた!はははは!!」 「ゆぅ?しぇつぶん?」 「ああ、節分だ!豆が悪い鬼を追い出んだ!すごいだろ!!」 「ゆぅ?おにしゃん?」 「すいかみたいな角の生えた、とっても悪いやつだ!はっはー!」 「おまめしゃん、しゅごーい!ゆっくちしちぇるにぇ!」 ぐずぐずと泣いていた子れいむも、どうやら豆をまくのは大事なことだ、 ということがわかり、すっかり笑顔になっている。 単純なものだ。 「そんなわけで、おうちの鬼は追い払った!次は体の中だな!ほれ!豆食え!」 「ゆぅ?むーちゃむーちゃしゅるの?」 「よくわからんが、歳の数だけ豆食ったら病気にならんとか、そんな感じらしい!ほれ!」 「ゆーん・・・れいみゅ、いくつたべりゅの?」 「うむ・・・ん?」 言われてみれば、この風習は人間向きのものだ。 子れいむは生まれてすぐに拾われたので生後何日かはわかる。 しかしそれでは数え年分の一粒しか食べられない・・・ 「うーん。そうだな。ゆっくりに人間の歳を当てはめるのもなんだ。よし!」 「ゆゆっ!?」 そういってお兄さんは、れいむの前に33粒の豆を置く。 「年でダメなら日数分でどうだ!はっはっはー!!」 「ゆ、ゆわーい!ゆっくちたくしゃんたべれりゅにぇ!!」 ・・・・・・。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「残さず食うんだぞ!」 「むーちゃむーちゃ、むーちゃむーちゃ・・・・」 ・・・・・・。 「ゆぎぇーぴゅ・・・まんぷきゅー・・・。」 所詮は子れいむ。 体のサイズの割には食べた方だが、まだ目の前には17粒の豆が残っていた。 「はっはっはっはっは!縁起ものだぞ!全部食え!」 「ゆ・・ぎゅ?むぎゅー!もぎょぎゅ・・・!」 だが、お兄さんは妥協を許さない。 子れいむを持ち上げると無理やり口を開かせ、さらに4粒、子れいむの頬にねじ込んだ。 「む、もごぎゅ。むー、ぢゅぁあ!!もうたべられにゃいよ!ゆっくちさせちぇにぇ!」 「ふーむ。しょうがないなー。」 そういうとお兄さんは、 ・・・さくっ! 手元にあった果物ナイフの刃を子れいむの額に水平に刺し、クルリと一周させた。 子れいむの頭頂部が、鍋の蓋のようにぱかっと剥がされる。 「ゆ・・・ゆびぃっ!?」 「ほら、全部食え食え!はっはは!」 ぐいっ!ぐいっ! お兄さんは、子れいむの頭にぱっくりと開いた傷口のど真ん中、 餡子の中央に豆をぐいぐいとねじ込んでいく。 「ゆ゛・・いぢゃい!いぢゃ・・・ぎゅぴぃ・・!!」 皮の近くにねじ込んではいないので、 見た目は子れいむの体が、風船のように膨張していくだけだ。 しかし、当の子れいむは強烈な痛みを伴う異物感を味わっているので、 自分の体に行なわれている事が、ただ事ではないことを理解する。 「ゆびっ!・・・ぴぃ・・ゆぎゅ!おにいぢゃ!やべぢぇっ!」 「はっはっは!遠慮するな!もうすぐ全部入るからな!はっはー!」 そして、子れいむの体積がソフトボールサイズからハンドボールサイズに近くなった頃、 33粒の豆は全て、子れいむの中に納まったのであった。 「く、くるちいよぉ・・う、うんうん・・・ぢゅるよぉ・・・」 切り開いた頭もしっかり元通り閉じた。 成長したわけでもないのに、これだけ体積が増えたのだから、 体内にかかる圧力は、子れいむをゆっくりさせないのに、充分すぎるほど。 こうなると、食べ過ぎたときと同様、当然出るものが出てくる。 「はっはっは!こらこら!せっかく食べさせたのに、いきなり出すなよ!」 「しょ、しょんにゃこといっちぇも・・・」 そんなことを離している間にも、子れいむのあにゃるは勝手に開き始め、 茶紫色のにくいヤツが顔を出そうとしていた。 「ふむ、よし!しょうがない!これをやろう!」 そう言ってお兄さんが取り出したのは、 トイレットペーパーの芯より少し細い、かっぱ巻きサイズの恵方巻き。 「ふぅーむ!お前用に作ってた恵方巻きだったがしょうがない!・・・そらっ!」 ぐぬっ! 「ゆぴゃぁぁああ!!れいみゅのあにゃるしゃんぎゃぁぁあ!!」 「はっはっは!まあ、上から食うのも下から食うのも、お前達なら変わらんだろ!」 「しょ、しょんなわけにゃいぃぃいいい!!」 「ほら、抜きたきゃ全部食えよ!ははははは!!」 そういうと、お兄さんは長さ30cm以上ある特製恵方巻きの、 あにゃるに刺さっている方の反対側の端っこを、子れいむの口にねじ込んでやった。 「もぎゅ・・・ぎゅぴゅ・・・ぴ・・・・」 「おお、こんな時間だ!じゃ、おやすみ!れいむ!ははははははははははははは・・・・」 こうして、お兄さんはやりたい放題やった後、 子れいむを放置して隣の部屋に行ってしまった。 「むぎゅ・・・ぴぅ?きゅぴぅ・・・?」 子れいむには、お兄さんがなぜ、どうしてこのような目に自分を遭わせるのか、 最後まで全く理解できなかった。 どうして? どうして? ・・・ドウシテ? ただ、一つだけ理解していることがあった。 うんうんを出すためには、この恵方巻きを引き抜くしかない。 しかし、体内はあんよも動かせないほどパンパン。 体を振って引き抜くことが出来ず、ゆっくりには手も足も無い。 子れいむが恵方巻きを引っ張る方法は一つしかなかった。 ・・・翌日、お兄さんが目を覚ますと、 子れいむは、弾けたあにゃるから餡子をだらしなくひり出し、 半分ほど食べ終わった恵方巻きを恨めしそうに眺めたまま息絶えていた。 ※胴付きすいかのおまめちゃんを食べてあげよう的なネタは これっぽっちも思い浮かびませんでした。 餡小話掲載作品(またちゃんと整理します。) 『町れいむ一家の四季』シリーズ 前日談 ふたば系ゆっくりいじめ 522 とてもゆっくりしたおうち ふたば系ゆっくりいじめ 628 ゆきのなか ふたば系ゆっくりいじめ 753 原点に戻ってみる ふたば系ゆっくりいじめ 762 秋の実り 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけはそうでもない) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道(おまけ) 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 734 未成ゆん(おまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 678 飼われいむはおちびちゃんが欲しい(おまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけ) 夏-1-6. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけ) 夏-1-7. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 冬-1. ふたば系ゆっくりいじめ 490 ゆっくりしたハロウィンさん 『町れいむ一家の四季』シリーズ 後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(仮) ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 ふたば系ゆっくりいじめ 376 飼いゆっくりれいむ ふたば系ゆっくりいじめ 409 町ゆっくりの食料事情 ふたば系ゆっくりいじめ 436 苦悩に満ちたゆん生 ふたば系ゆっくりいじめ 662 野良ゆっくりがやってきた ふたば系ゆっくりいじめ 807 家出まりさの反省 その他(舞台設定のみ共有) ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 854 ごく普通のゆっくりショップ 本作品 挿絵:全裸あき
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前 「こっちににげたよ!」 「ぜったいつかまえてころすよ!」 「ゆっくりできないにんげんはしね!」 ゆっくりの叫び声が廃鉱山の闇に溶けるように響く。 私が今隠れている食料庫の扉越しに聞こえるぐらいだから、相当な大きさで怒鳴っているようだ。 リーダーまりさと見張りの巨大れいむを殺されたために相当ご立腹の連中は巨大ゆっくりも通常ゆっくりも総動員してゆっくりできない人間を始末しに掛かっている。 その人間とは私のことだ、困ったことに。 今、こちらに接近中の連中は声の高さから判断するに、巨大1通常2の混成部隊らしい。 ガヤガヤと騒ぐ声がさらに大きくなってきた。 ゆっくりが跳ねながら移動するときに餅をつくような音が扉の前で止まった。 こちらは陰に隠れているために分からないが、どうやら巨大ゆっくりが扉に付いた小さな窓から中の様子を伺っているようだ。 「おにいさ~ん。もうあきらめてでてきてね~。いまならゆるしてあげるよ~。」 こちらを見つけて得意になったような声だが、実際のところ連中はこちらを見つけていない。 あわてて出てきたところを袋にしようとする程度の知能はあるらしい。 「ゆっ!ここにはいないみたいだね!むこうをさがそうね!」 「まりさはおおきくてかしこいね!これならすぐににんげんをみつけられるよ!」 でも見つけられてねえじゃん。流石通常ゆっくり、能天気なもんだ。 餅つき音が十分に遠ざかるのを待って、物陰を出て扉に近づく。 先ほど、巨大ゆっくりにフェイントを掛けられてすぐに扉に近づいた結果、こちらの姿を見た巨大ゆっくりが突撃してくるのを咄嗟に撃ち殺し、その音で更に多くのゆっくりを呼び寄せてしまった為に十分に注意しながら進む。 どうやら本当に向こうを探しに行った様だ。 ヒカリゴケがわずかな光を提供する通路に扉を開ける音が吸い込まれていく。 細心の注意を払いながら左右を素早く確認し、出口へ向かった。 何かを食べている通常ゆっくりのペアの後ろを慎重に通り過ぎ、巨大ゆっくりの巡回を隠れてやり過ごして進んだが、 後で吹き飛ばそうと先ほど決意した巨大あかちゃんゆっくりの寝室に差し掛かった所である物が視界に入ったために素早く姿勢を下げ、曲がり角に隠れる。 巡回をサボり中の巨大ゆっくり3匹が寝室に向いて何事かを話しかけていた。 「ゆー、べろべろばあ!」 「れいむのあかちゃん!もっとゆっくりしてていいよ!」 「こわいにんげんからまもってあげるね!」 困った事にこいつらのいる寝室の前を通らねば外には出られない。 手持ちの小銃は5発装填済みで巨大ゆっくりを倒すためには最低3発が必要。 距離は十分に離れているので2匹射殺するなら何とかなるが、発砲炎を見られたが最後、突進してきた3匹目に俺は踏み潰される。 畜生。何でデカいとはいえゆっくり如きを警戒せねばならないんだ。 どうする?どうやって多数の巨大ゆっくりを始末する? そう思いながら悩んでいると、隣の里が少数の戦力で多数の巨大ゆっくりを屠った事を思い出した。 連中はどうやって交戦した?こっちの集落と違って隣の里に重火器は無い。 バリスタで交戦したとかいう話だが、連射速度と射程から考えて全速突撃するゆっくりを5回撃てれば御の字だろう。それでは十分に数を減らす前に蹴散らされる。 一体どうやって巨大ゆっくりの足を止めたんだ? 荷物から資料を素早く取り出し、交戦記録の記述を読む。程なくして目的の箇所を発見。 死んだゆっくりの帽子で同士討ちを誘発したようだ。 よし、これを応用させてもらおう。 実行に必要なゆっくりを調達するために物陰から離れ、来た道を引き返した。 鉱山時代には採掘された鉱石をトロッコに積載する部屋だったそこは現在、食事の時間であれば多数のゆっくりで賑やかとなる「ゆっくり食堂」となっていた。 破滅的に下手糞な平仮名(というより、文字であるかどうかすら怪しい)を書かれた札がかかった入り口の更に奥、昼食の時間が終わった為に静まり返った食堂に二匹の通常ゆっくりがいた。 「はぁ…はぁ…おいしー!」 「ゆっ!まりさ!しずかにしなきゃだめだよ!」 摘み食い中らしき2匹は他のゆっくりに見つかることを恐れ、音を立てぬように注意を払っていたが、ゆっくりの本能に抗うことはなんとも難しかった。 慌てて周囲を見回す2匹だったが、幸いな事に気づかれた様子は無い。 体を食料に向けて食事を再開する。 「ゆっくりしずかにたべようね。」 「む…しゃ…む…しゃ…」 食事はすぐに中断した。入り口から地面を踏みしめる音が聞こえてきたのだ。 モチモチとした体を飛び跳ねさせて移動するゆっくりの立てる音ではない事をれいむは知っていた。 これは人間が歩くときの音だという事もれいむは知っている。 「ゆっ!みん…ゆっ!」 入り口を向いたれいむは大声で助けを呼ぼうとしたが、そもそも自分たちがここで何をやっているか、それを見た仲間が自分たちをどうするだろうかという事に気づき慌てて口をつぐむ。 「れいむ?どうし…ゆっ!」 遅れてゆっくりまりさが入り口を向き、人間の姿を認めて驚く。 2匹は視線を交わし、ヒソヒソと話し合ったあと、侵入者の方を向いてこう言った。 「「おにいさんもいっしょにたべていいからしずかにしてね!」」 「断る。」 「「…ゆ?」」 侵入者の返答の意味が分からず体を傾けて疑問の声を上げる2匹。 彼女たちにとってこの提案は自分たちの取り分を減らすことになる痛い物だったが、それだけに必ず効果があるだろうという物だっただけに拒否されたことが理解できなかった。 残念なことに、提案を考えたのは結局餡子であるという事だった。 2匹が正気に戻ると侵入者が近づいて来たところだった。 「おにいさん、ほしいならあげるからゆっくりまってね。」 「も~くいしんぼさんだねおにいさん!」 提案が受け入れられたと勘違いしたセリフ。しかし、侵入者は足を止めずに近づいてきた。 まるで無視されたように感じたゆっくりまりさが膨れる。 「おにいさん!はなしきいてるの?!ゆっくりとまってね!」 それでも侵入者は足を止めない。聞こえていないかのように反応すら見せない。 まりさはついに実力行使に出た。 「ゆっくりとまってね!ゆっくりとまってね!ゆっくりとまっヘェヒュ!!」 侵入者の足に体当たりを開始したまりさだったが、3回目の体当たりを放つためにセリフを放ちながら飛んだとき、妙な声を上げて彼女は落ちた。 れいむは訳がわからなかった。 いっしょにゆっくりする筈のお兄さんはまりさに棒を突き刺したような体制だったし、さっきまで元気に跳ねて体当たりしていたまりさはピクりとも動いていなかったから。 「お、お兄さん…。まりさをどうしたの?」 「こうしたんだよ。ゆっくり見てね。」 れいむの疑問に答えた彼はまりさから白色の細い板──三十年式銃剣を引き抜き、まりさを足でれいむの方に押しやった。 ぐにゃりと歪みながらまりさは半回転し、れいむの方を向く。 「ゆぅーーーーーーーーーーーっ!!!」 まりさの額がぱっくりと裂け、そこからどろどろと流れ落ちる餡子を見たれいむは悲鳴を上げる。 「まりさっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 「れ…ぃむ…。この…ひとは…ゆっく…りできな…ガプッ!!」 「はいそこまでー。永遠にゆっくりしてね!」 まりさが最後の力を振り絞って親友に警告を発しようとしたが、頭上から差し込まれた銃剣に途中で阻止された。 「まりさ゛あ゛あ゛ぁ゛ーーーーーーーーっ゛!!!」 もはや摘み食いを仲間に見られる事など忘れ泣き叫ぶゆっくりれいむ。 しかし彼女が悲しみを完全に吐き出すことはできなかった。 正面から高速で襲来したつま先が彼女を乱暴に蹴飛ばし、壁に叩きつけられたのだ。 「ゆっくり静かにしていってね。すぐ終わるから。」 「ゆっ…ぐっ…まりさ゛あ゛ぁ…。」 れいむは甘い死臭を放つまりさの帽子を強制的に口の中に入れられた後、猿轡をかまされ喋れなくなった。 自身の運命を悟った彼女は必死の抵抗を試みるが、その抵抗が重心を移動させて転がるというものでは何の意味も無かった。 「じゃあ、今から仲間のところでゆっくりしようね。」 「ん゛ー!ん゛ー!ん゛っん゛んう゛うう゛う゛んう!」 リボンを捕まれ持ち上げられたれいむは痛みに耐えながら必死に揺れて自己主張をしたが聞き入れられなかった。 思い付きを実行する為に必要な物を入手した彼は、あの巨大赤ちゃんゆっくりの寝室入り口を見渡せる物陰に戻ってきて再び隠れた。 「れいむのあかちゃんはほんとうにかわいいね!ずっとみててあげるね!」 「まりさのあかちゃんもかわいいよ!」 「「おかあしゃん!ゆっきゅりしちぇっちぇね!!」」 彼は未だに寝室の前で子供に話しかける巨大ゆっくりに呆れながら、持ってきた痣だらけのゆっくりれいむを手元に置き、腰を下ろして小銃を構える。 彼はれいむの猿轡がゆるくなっているのに気がついていなかった。 ──れいむがしゃべれるようになってるのにきがつかないなんてほんとうにばかなにんげん!これでゆっくりできるよ! 「みんなー!れいむをはやくたすけてね!」 ゆっくりれいむのくぐもった救助要請に一斉に振り向く巨大ゆっくり。 れいむの口からただようゆっくりの死臭はまだ届いていないようで、巨大ゆっくりはれいむを助けようと突進を開始した。 「ゆゆ!いまわるいにんげんからたすけるよ!」 「ゆっくりまっててね!もうちょっとだよ!」 「ゆっくりできないにんげんはしね!」 巨大ゆっくりが3匹で己の方へ突っ込んでくるのはそれなりに恐ろしい物である筈なのに、彼は全く関心が無いように引き金を引いた。 「ゆぶっぅ!」 「まりさっ!まりさのかたきはれいむがトビャッ!」 3発の銃弾を受けて先頭を進んでいた巨大まりさが粉砕され絶命する。 それを見た巨大れいむが気勢を上げるが、更に飛来した銃弾で全身を貫かれて速度をガクンと下げる。 しかし、最後尾を進んでいたため無傷の巨大まりさが2匹を追い越して突撃を継続する。 「もうばーんってできなくなったね!あきらめてゆっくりしんでね!」 勝ち誇った顔で勝利宣言をする巨大まりさ。 その時、正面から何かが闇の中から飛んできてまりさの顔に当たり、ぼよんと跳ねて地面に落ちた。 飛んできたのは捕まっていたゆっくりれいむだった。 「ゆっ!れいむをかえしてももうおそいよ!ゆっくり、し…ね…?」 「れいむをなげるなんてばかなおにいさん!まりさ!あんなやつゆっくりころしてね!」 れいむの口から覗く黒い物体とその匂いに気が付いた巨大まりさが表情を変えていく。 勝利宣言のニヤけた笑顔から憤怒の表情へと。 「ゆっくりしねえぇ!」 「まりさ!にんげんはこっちじゃないよ!ゆっくりきづいてね!」 れいむの体から漂う甘い死臭で同属殺しと判定した巨大まりさがれいむを潰しに掛かる。 当然、黙って見ているれいむではなく必死で逃げだした。 彼は巨大ゆっくりと通常ゆっくりが追いかけあってる間に小銃を再装填し、再び構える。 銃声が3つ響き、無傷だった巨大まりさが物を言わぬ餡と皮の複合体へと変えられた。 「おにいさん!れいむをたすけてくれてありがとう!」 そのお兄さんが自分に何をやったかもう忘れたゆっくりれいむは4発目の銃声を最後に動かなくなった。 最後の1発で巨大れいむの息の根が止められ、彼の前を阻むゆっくりはいなくなった。 彼は立ち上がって静まり返った巨大赤ちゃんゆっくりの寝室へと入って行きこう言った。 「君たちには悪いけど君たちの親が悪いから死んで貰います。ゆっくり親を恨んでね!」 大小混合編成の赤ちゃんゆっくり達は入ってくるなりそう宣言した人間の言うことが分からず、頭に?を浮かべたような表情をしていたが、人間に一番近かったゆっくりが刺し殺された時点で狂乱の渦に落ちた。 「いやた゛あああぁぁあ!」 「まりし゛ゃは゛こ゛ろし゛ゃないち゛ぇ!やめち゛ぇ!」 「ゆ゛ーゆ゛ーゆ゛ーゆ゛ー」 それから3分後。 かつて赤ちゃんゆっくりが最も安心できるゆっくりプレイスだった筈の寝室は、赤ちゃんゆっくりの死骸が転がる餡子の池地獄と化していた。 入ってきた人間がまた1匹、ゆっくりを捕まえて刺し殺す。 その周りには鋭利な刃物で殺傷された赤ちゃんゆっくりや踏み潰された赤ちゃんゆっくりが3ダース近く転がっていた。 一部のゆっくりは息があるのか「ゅ…ゅ…」と呻いていたが、どう見ても助かりそうには無かった。 生きている赤ちゃんゆっくり、その数およそ120匹は部屋の隅に固まって泣き、怯えながら震えていた。 更には自分こそ奥へ行こうと他の赤ちゃんを押しのけ、自分より小さい赤ちゃんを踏み潰しているゆっくりまでいる。 人間がそちらへ近づいていくたびに、殆どの赤ちゃんゆっくりが意味の無い単語を叫びながら逃げて行き、運の悪い赤ちゃんゆっくりが公開処刑されていた。 これだけの数が居れば人間に勝てそうなものだが、彼に向かっていくゆっくりは一匹も居らず、ただ逃げ惑うばかり。 そのような勇気ある赤ちゃんゆっくりは真っ先に死骸となっていた。 さらに2分経過して赤ちゃんゆっくりの数が3桁を切ろうかという頃、赤ちゃん達の耳に待ち望んでいた声が聞こえてきた。 頼もしい群れのリーダーと、彼女が引き連れる巨大ゆっくりの声だ。 急に強気になった赤ちゃん達は偶然にも彼女達の親の1匹が取った行動を再現した。 勝利宣言である。 「ゆゆ!おにいさん!りーだーにつかまってころしゃれてね!」 「りーだーはつよいんだよ!おにいしゃんなんかかちぇないね(わらい)!」 「あきらめてあやまっっちぇね!」 しかし、彼は赤ちゃんゆっくりの言葉に聞く耳持たずといった様子で寝室から出て行った。 「にげちゃうんだ!あかちゃんあいちぇににげちゃうんだ(わらい)!」 「しゅごしゅごにげてね!まけいぬ!」 「おうちでゆっくりないちぇいっちぇね!」 「りーだーからはにげられにゃいよ!ゆっくりつかまっちぇね!」 寝室から出た彼は荷物から最後のセムテックスを取り出し、信管を幾つか差し込んでデトコードを素早く伸ばしていく。 彼が角の向こうに姿を消すのと、彼を始末に来た巨大ゆっくり一行の先頭集団が寝室入り口に差し掛かったのはほぼ同時だった。 その瞬間、セムテックスが起爆してあまり頑丈ではない通路に強烈なダメージを与えた。 自身の重量とその上の土を支えきれなくなった通路が急速に崩壊し、寝室で惨殺されている赤ちゃんゆっくりを見てショックを受けていた巨大ゆっくりが押しつぶされた。 彼は通路が塞がれたのを確認した後、悠々と外へ出て行った。 土砂の向こうから僅かに漏れてくる、ゆっくりがこんな事をした人間のおうちは必ず破壊すると宣言しているのを聞いてから。 仲間の巨大ゆっくりに殺されかけたものの九死に一生を得たリーダーまりさは目の前の光景を呆然として眺めていた。 切り札の精鋭巨大ゆっくり部隊があの人間を殺そうと加速したとき、爆発が起こって天井が崩れ、彼女の切り札が生き埋めになってしまったのを。 「な、なんでぇ…れいむ!まりさ!」ぱちゅりー!おきてよ!ねえへんじをしてよ!」 「まりさ…もうしんじゃってるよ…ゆっくりさせてあげなきゃ…」 「そんなこといわないでよ!れいむもまりさもぱちゅりーもいきてるよ!へんなこといわないで!」 切り札にして親友のゆっくりを一挙に3匹も失ったまりさは暫くの間、錯乱しながら叫んでいたが徐々にその顔が赤く染まってきた。 まりさにとって己の命と同じぐらい大切だった仲間を無残に殺戮した人間に憎悪を抱いたのだ。 「ゆるさない…まりさのしんゆうをころしたにんげんはぜったいにゆるさない!ゆっく゛りさ゛せ゛す゛にこ゛ろし゛てやる!!にんけ゛んのおうち゛をにと゛と゛ゆっく゛りて゛き゛ないようにし゛て゛やる!!」 復讐に燃えるまりさは崩落箇所を修復した翌日の朝、発言を実行に移すこととなる。 「連中の侵攻予想時刻は明日午前9:00と思われます。」 日が落ちたために電灯で照らされた広い部屋。 その入り口から反対側に設置された黒板の前で一人の男が何か図らしき物を描きながらそう発言した。 セムテックスで巨大ゆっくりを生き埋めにしてきた彼だ。 「この時刻想定は連中が洞窟の復旧にかかる時間、巨体で森林を通過する時間を入れて計算してありますから、まずまずの正確さと思われます。」 「それで、どうやって対応するつもりなんだ?流石に陣地防御だけでは難しいだろ。最低200匹の想定なんだろ?」 彼が黒板の『廃鉱山』と書かれた箇所に『08:00』、『主防御線』と書かれた所に『09:00』と記入しながら発言したとき、1人の男が疑問をはさんだ。 「そうですね。確かに陣地だけじゃ厳しいです。なので、連中が巣から出てきた時点で砲撃を開始します。」 「砲撃?加工所の連中か?」「またあいつ等に頼るのか?良い連中ではあるんだがな。」 「廃鉱山入り口を見渡せる場所に夜明けと同時に観測班が移動する予定です。使用装備は毎度おなじみ155ミリ榴弾砲3門を予定しています。」 彼は質問者に答えつつ、黒板の『主防御線』より下に長方形を書き、その中に塗りつぶされた小さい丸を書く。 「連中がこちらに接触するまでに砲撃を継続し、100は削るつもりです。」 「あの巨体だろ?効果が通常のゆっくりよりも落ちるというのは?」 「勿論想定しています。加工所研究開発部に増援を要請した所、彼らは快く応じてくれました。」 そう言いながら、『主防御線』の所に長方形と横に潰れた楕円を組み合わせた記号を書き込み、その上に縦棒を1つ加えた。 「彼らなら巨大ゆっくりの50や100何する物ぞ、必ず蹴散らしてくれます。」 「その記号は…!それなら大丈夫か、安心した。」「彼らならやってくれるだろうな。」 「ご理解頂き感謝します。それでは作戦会議を終了致します。すでに斥候ゆっくりとの小競り合いが起きていますので、各員、情報漏洩に注意してください。では、解散。」 会議に参加した男たちが一斉に腰を上げ、挨拶を交わしながら外へ出て行く。 男たちは愛する家族が待つ家へと帰るために扉の外の吹雪へと次々姿を消し、後に残ったのは彼と里長だけになった。 「それでは、私もこれで。向こうで加工所の皆様とうち合わせをしなければならないので。」 「ああ、武運を祈る。」 彼もそう言って外へ出て行き、最後に残った里長は冷えた体を温める為、茶でも飲もうかと立ち上がっていった。 まりさは勝利を確信していた。 昨日おうちを破壊してくれた愚かな人間は赤ちゃんゆっくりをかなりの数惨殺しており、それ自体は群れの存続に影響があるほどのダメージだったが、現有戦力──つまり成体ゆっくりの殺害数は2桁にすら届かないというレベルだったので、人里侵攻には何の影響もなかった。 あかちゃんをころしてもつよいゆっくりをころさないなんて、あのにんげんはほんとうにばかだね! 昨日その人間のせいで死に掛けたのだが、餡子脳はそのような自分に都合の悪いことは覚えておらず、昨日の人間はまりさの中で雑魚ということになっていた。 それに、おともだちのありすやみょんもたすけにきてくれたからぜったいまけないね! 友好関係にある巨大ありすや巨大みょんの群れから結構な数の巨大ゆっくりが増援に来ており、その事もまりさの自身を増大させていた。 自分たちの後方で爆発が発生するたびに、巨大ゆっくりが数匹に通常ゆっくり1ダースが脱落している事にまりさは気づいていなかった。 巨大ゆっくりが大量に動くとき発生する音と巻き上がる地吹雪のせいでまりさの視覚と聴覚が半ば麻痺していたから。 そんなまりさでも森の向こうが徐々に明るくなってくるのは分かった。森の出口だ。 「ゆっ!みんな!もうすぐにんげんのところだよ!ゆっくりじゅんびしてね!」 まりさは走行中の巨大ゆっくりの上から指示を出す。 それを聞いた仲間たちは巨大ゆっくりが前面に出るように加速し、通常サイズがその後ろに隠れるようにやや減速した。 まりさは今まで敵対してきた群れをいくつも滅ぼしたこの陣形に絶対の自信を持っていた。 だから、森を抜けた瞬間に人間たちの攻撃で足元の巨大ゆっくりごと吹き飛ばされ、高速で木の幹に叩き付けられても何が起こったかわからなかった。 リーダーまりさ自ら率いる最初のゆっくり集団は森を抜けると同時に待ち構えていた人間の一斉射撃によってリーダーを残し全滅した。 雪の色と餡子の色が絶妙なコントラストを作り出す。 「みんな!にんげんたちをころすよ!」 「ゆっくりできないようにしてやる!」 「あやまってもゆるさないよ!」 第2集団がすぐに現れ、最初の集団の成れの果てが見えないのだろうか同じような陣形で突撃していく。 その集団は最初の物より5メートルほど先に進めたが、そこが限界だった。 「ゆぶぶぶぶぶぶぶっ!」 「ゆ゛ーーーーーーっ゛!!」 「もうし゛ないか゛らゆるし゛へ゛っ!!」 重厚な音を立てて機関銃が弾を吐き出していく。 何発かに1発の割合で混ぜられた曳光弾の放つ光が巨大ゆっくりへと吸い込まれ、瞬時に穴だらけの巨大饅頭へと変化させた。 そればかりか、巨大ゆっくりの柔らかい体を反対側まで突き抜けた7.7ミリ弾はその後ろを進んでいた通常ゆっくりに命中し、そこでやっと運動を止めた。 その運動エネルギーを受け止めた通常ゆっくりは既にバラバラになっていた。 このような光景が防御陣地に三箇所据え付けられた機関銃によって現出させられていく頃、同時に他の光景も現れ始めた。 陣地中ほどで待機していた加工所研究開発部の戦車中隊が侵攻してくるゆっくりの増大を見て攻撃を始めたからだ。 「目標!前方の巨大ゆっくり!弾種榴弾!撃ぇーーーーっ!」 「ゆっく゛りし゛て゛て゛ね!こっち゛こないて゛ねへ゛っ!?」 「みんなはれいむがまもってあげるほ゛おぉっふ゛っ!!」 合計10門の戦車砲が咆哮をあげ、灰色に塗装された様々な形の鋼鉄が振動するたびに巨大ゆっくりが体を貫通されて悲鳴を上げ、その後ろの通常ゆっくりが榴弾の爆発により木っ端微塵にされていく。 「みんなはまりさのかわりにしんでほしいんだゼゴブッ!」 「ゆっくりしんでいっぺぺぺぺぺっ!」 仲間が次々と穴だらけのオブジェにされるのを見たゆっくり(特にまりさ種)がその場から逃げ出す。 だが、機関銃の弾は勇敢なゆっくり臆病なゆっくり誠実なゆっくり卑怯なゆっくり大きいゆっくり小さいゆっくりを区別せず平等に死を与えていく。 「おか゛ーち゛ゃーん!た゛す゛け゛へ゛っ!!」 「まりさ゛をこ゛ろし゛て゛もいいか゛らみんなをた゛す゛け゛く゛っこ゛ーーっ!!」 「ころさ゛ないて゛えヘ゛フ゛ヘ゛ーーーッ!!」 幻想郷においては美しさの点でおそらく最底辺に位置する弾幕が展開されるたびにゆっくりの命が刈られ、白化粧の風景が飛び散る餡子に汚されていった。 5個集団100匹のゆっくりの突撃を粉砕した陣地に僅かな静寂が訪れた。 5個目のゆっくり集団が突撃を中止、仲間の死骸や仲間だった物の一部を引きずり、口に入れて回収し始めた事に陣地の人間が気づいた段階で射撃は停止されていたからだ。 突撃と射撃の中止タイミングが少しずれていたために回収役のゆっくりが10匹以上回収される側になっていたが。 機関銃陣地の人間は加熱し磨耗した銃身を取り替える為に、大量に消費された機銃弾を補給する為に僅かな人間を残して後方へ必要な物資を取りに行ってしまった。 戦車隊は横付けされたリヤカーから砲弾を受け取っている為に全員配置についていたが、ハッチから砲弾を受け取っている為に直ちに戦闘可能と言う訳ではなかった。 全員、機関銃と戦車砲の前に無謀な突撃を繰り返して餡子の山を築くゆっくりに油断していた。 だから、陣地から最も突出していた九七式中戦車の車体前方で火花が散って甲高い衝撃音が発生したとき、それに乗車していた人間は気のせいだと無視した。 ゆっくりが戦車の装甲を打ち抜くなど無理だと思っていたから。 森から巨大ゆっくりが再び姿を見せたとき、戦闘可能なのは陣地中央の1輌のみだった。 「ちいさいゆっくりはいしをどんどんあつめてね!」 「おっけー!ありすにまかせて!」 「おおきいゆっくりはもらったいしをどんどんはきだしてね!」 「ばかなにんげんはおどろくだろうね!」 「たのしみだね!」 木の根元で潰れていたところを救出されたリーダーまりさが生き残りに指示を出す。 巨大ゆっくりの肺活量をいかして砲台にしようとしているのだ。 ぽんっ、という二重の意味で気の抜ける音が森に反響し、陣地へ数十個のこぶし大の石が飛来する。 殆どの石は一番目立つ戦車へ向かって発射され、甲高い音を立てて戦車の装甲に弾かれたが幾つかの石は効果を発揮した。 『こちら第1機銃座!石で機関銃がゆがんだ!射撃不能!』 『7号車から1号車。今の投石で履帯が切れたようだ。自走不能。指示を請う。』 どのみち弾薬切れで射撃できない機銃要員が指示を受けて下がっていき、唯一戦闘可能な四式中戦車がエンジン音を上げて陣地の前方に出る。 「ばかなにんげんだね!それだけでかてるわけないじゃん!」 「はやくあやまってね!くるしまずにころしてあげるよ!」 「あやまってね!」「あやまってね!」 「ゆーっゆっゆっゆっ!」 勝ち誇るゆっくりが戦車に対して罵声を浴びせる。 満面のいやらしい笑みをうかべた巨大まりさだったが、返事は彼女の期待に沿った物ではなかった。 巨大まりさにオレンジ色に光る物体が突入した瞬間、彼女はくぐもった悲鳴をあげながら巨大な虐待お兄さんに蹴り飛ばされたかのように中央がへこみ、瞬きする間もなく後頭部が膨らみ炸裂した。 一式破甲榴弾が巨大まりさ自慢の分厚い皮をちり紙のように貫通し、そのまま後ろへ抜けて行ったのだ。 五式七糎半戦車砲から放たれた砲弾はこのような光景を5回再現し、6匹目の通常ゆっくりに突入してからやっと炸裂した。 リーダーまりさの小間使いをやっていたゆっくりれいむが破裂する。 後方で他のゆっくりに指示を出していたリーダーまりさに加熱された餡子の酸化物が降り注いだ。 「よ゛っ゛、よ゛く゛ほ゛れ゛い゛ふ゛を゛!!」 滝のような涙を流し、リーダーまりさは人間へと突撃。 何事かと振り向いた巨大みょんの横をすり抜け、石を集積中だった赤ちゃんれいむを飛び越して駆けた。 最も先頭にいる巨大ゆっくりを追い抜いたとき、目の前の惨状に気がついた。 まりさの目の前にあるのは餡子と皮の山。森の出口正面の為にここで無残に撃ち殺されるゆっくりが多かったことを物語っている。 苦痛の表情をした顔の皮とまりさは目を合わせてしまった。 背中に何か冷たい物を感じるまりさ。 まりさの右にはたくさんの瀕死ゆっくり。「い゛た゛い゛よ゛お゛ぉ゛。」「ゆ゛っく゛り゛し゛た゛い゛よ゛」「ま゛り゛さ゛。た゛す゛け゛て゛よ゛は゛り゛さ゛」ゆっくりのうめき声がたくさん流れてくる。 元気なゆっくりが葉っぱを貼り付けてあげ、言葉をかけるなど治療行為を行っているが餡子の流出が止まらず、どう見ても助かりそうに無かった。 まりさの左には形が残っているゆっくりの死骸が集積されていた。 話しかければ今にも起き上がるんじゃないかという安らかな顔で目を閉じたゆっくりれいむが運ばれてきて、死骸の山に加えられた。 まりさは再び正面に顔を向けた。 餡子と皮の山の向こうには灰色の塊が鎮座している。人間の乗り物だ。 後部から煙を噴き出し、その塊がが次々とまりさの方へ向かってくる。 あれが、あれがまりさのともだちを!あれがまりさのかぞくを!あれがまりさのなかまをころしたんだ! 怒りの視線を射殺さんばかりに灰色の塊へと向けるまりさ。 ふっと、何かを決意して口を開く。 「ひ゛んは゛!ひ゛んけ゛んはゆっくりし゛て゛るみた゛いた゛よ!いは゛のうち゛にこ゛ろせ゛えええぇぇ!!」 20を切るまでに減った砲台ゆっくりがリーダーの命令を受けて口を開けた。 次に石を頭に載せた通常ゆっくりが近づき、砲台ゆっくりがそれを受け取る。 本来ならば砲台ゆっくり1に対し、石運びゆっくりは3を確保して迅速な射撃を実現していたはずだったが、急速な石運びゆっくりの消耗により射撃間隔がひどく開いてしまっていた。 でも、これまでだよ。にんげんののりものがすごくてもこんなにたくさんのいしをふせげるわけないよね。 砲台ゆっくりが一斉に空気を吸い込むと言う頼もしい光景にまりさは勇気付けられた。 今までにその自信が何回打ち砕かれたかはもう忘れて。 「みんな!いくよ!ゆっくり~!」 「装填よし!」 「目標!砲撃ゆっくり!弾種徹甲!」 「うってね!」 「テェッ!」 砲台ゆっくりと戦車隊の射撃はほぼ同時だった。 しかし、ゆっくりが放った石は放物線を描き、それに対して砲弾はほぼ一直線に突き進んでいく。 どちらが先に効果を発揮するかは明らかだった。 ゆっくり達にとって幸いだったのは、石が効果を発揮したかどうか判別する前に死んだ事だった。 「は゛ぁ…は゛ぁ…な゛ん゛て゛ぇ!?な゛ん゛て゛ぇっっ!????」 リーダーまりさは僅かな手勢を引き連れて廃鉱山へと泣きながら逃げ帰っていた。 切り札を人間に悉くつぶされた挙句、新しく開発した「投石」作戦すら無効だったから。 強靭な悪い巨大ゆっくりの皮膚すら貫通する「投石」を防がれたのはショックだった。 あの時、自分達の放った石よりも先に人間達の攻撃が到達して砲台ゆっくりを粉砕、餡子と白雪の混合物が舞い上がったが、それでもまりさは口をゆがめて笑うのを止めなかった。 試しうちした時に見た、放物線を描く石が悪いゆっくりの上から降り注いで、餡子の飛沫を上げながらゆっくりが絶命した光景。 それが今度は人間相手に起きるだろうと確信していた為だ。 しかし現実は厳しかった。 威力を期待された石は戦車の一番薄い上面装甲すら貫徹できず、火花を上げて跳ね返された。 必殺の攻撃すら防がれたゆっくりの群れはその光景を目にした時点で壊乱。 残り少ない巨大ゆっくりが人間の前に立ちふさがり、通常ゆっくりがまりさを援護しながら脱出を開始した。 巨大ゆっくりの断末魔を聞きながら全速力で「おうち」を目指しているのが今の状況、というわけだ。 まりさが後ろで何かはじけるような音がしたのに気づくと同時に、横を走っていたゆっくりみょんが顔をはじけさせながら前につんのめる。 「ま…さ…ゆ…くり…にげ…て…ね…」 まりさはみょんを見ない。見ると追いつかれて殺されると知っていたから。 再び後方で音が発生。ついでまりさのまわりを高速で何かが飛びぬけていった。 高速で飛ぶ何かが木に当たり、木片を高速で周囲に撒き散らす。 ゆっくりちぇんが木製の散弾を食らって倒れた。 ありすの群れから来てくれたゆっくりありすが高速で飛ぶ何かに全身を貫かれて吹き飛ぶ。 それでもまりさは前を見続け、前進し続けた。 まりさを救うために散ったゆっくりの命を無駄にしない為に。 そうするうちに追撃がやんだが、それに気づかずリーダーまりさは森を駆け抜けていった。 「撃ち方やめ!撃ち方やめ!」 逃走した指導者まりさとその取り巻きを追撃していた加工所職員達に停止命令が伝わる。 停止させた理由が分からず疑問に思ったが、彼らはそれを態度に表さずに帰っていった。 それが彼ら加工所研究開発部実験隊の仕事だから。 ごめんね。ぜんぜん「雪中」じゃないね。 by sdkfz251 このSSに感想を付ける
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※序盤にちょっと愛で描写あります ※いわゆる良いゆっくりが虐められます 上記が苦手な方はご注意ください。 青年が畑仕事から帰ってくると、玄関口の前で一匹のゆっくりれいむが眠っていた。 「ん? 何でこんなところで寝てるんだ?」 お兄さんは疑問に思い、涎を垂らしながら眠るれいむの頬を突っついた。 何回かぷにぷにすると、れいむは目を覚まして辺りを見回した。 「ゆ? おにいさんだぁれ?」 「僕はこの家の持ち主さ。君はどうしてここで寝ていたんだい?」 「おさんぽしてたらついきもちよくなっちゃって…」 れいむの話を纏めるとこうだ。 『散歩中、あまりにも心地よい気温だったので直射日光の当たらない屋根の下で眠ってしまった』 それを聞いたお兄さんは楽しそうに笑った。 「あははっ、そうかそうか。まあ確かに今日は涼しかったけどね」 「ゆ、ゆぅ~」 れいむもつられて恥ずかしそうに微笑んだ。 「おにいさん、かってにばしょをかりちゃってごめんなさい。すぐでていくよ!」 おや、とお兄さんは思った。 先程から感じていたことだが、このれいむは普通の野生のゆっくりとはどこかが違う。 飼いゆっくりかと思ったがどこにもバッジ等の目印を付けていない。 「ねぇ、れいむ。君は誰かに飼われていたのかい?」 「ゆ? れいむはだれにもかわれてないよ!」 どうも捨てゆっくりでもないらしい。 ならやはり野生だろうか。しかしそれにしては礼儀正しい。 まあそういうゆっくりもいるのだろうと思ったお兄さんはれいむにもう一度尋ねた。 「みたところ一人のようだけど、家族はいるの?」 「ゆ…それが…」 どうやらこのれいむは家族で仲良く暮らしていたところをれみりゃに襲われたらしい。 そしてれいむだけが命からがら逃げ出し、それからはずっと一匹で過ごしてきたようだ。 「そっか、それは辛かったね。ごめんね、変なこと聞いてしまって」 「ゆ! おにいさん、きにしないで! れいむはだいじょうぶだよ!」 「そっか、君は強いんだなぁ」 その後も少し二人はおしゃべりをした。 やはりれいむは普通の野生ゆっくりよりも大人しく、人間側の常識を知っている。言葉遣いも丁寧だ。 話しているうちにお兄さんはれいむをとても気に入った。 そこでふと考えた。 このゆっくりれいむは一匹で生活してきたと言っていた。 ならば自分と一緒に過ごすのはどうだろうか、と。 「ねぇ、れいむ。君が良かったらでいいんだけど、僕の家に住まないかい?」 それを聞いてれいむはびっくりした顔になる。 人間の家に住む。それは確かに魅力的なことだ。 他のゆっくりに巣を取られることもないし、雨や雪の対策も必要ない。 何よりこのお兄さんはとても優しい。もしかしたらご飯も用意してもらえるかもしれない。 しかし。 「ゆ…でもおにいさんのめいわくになるよ」 「いや、君はとても賢いゆっくりだ。迷惑だなんて思わないよ」 「でも…」 「それに僕から言い出したんだ。少しぐらい迷惑かけてくれてもかまわないよ」 「…ほんとう?」 「ああ、本当だよ」 そう言ってお兄さんは優しく微笑む。 その笑みを見てれいむは決心した。このお兄さんのお世話になろうと。 「ゆ! ふつつかものですが、よろしくおねがいします!」 「ああ、よろしく」 それからお兄さんとれいむの生活が始まった。 お兄さんは一人暮らしということもあり、れいむをとても可愛がった。 れいむもお兄さんの迷惑になるような事は一切しなかった。 やはり今までひとりっきりだったのは寂しかったのか、その顔はとても幸せそうだ。 「よし、今日も一緒に畑に行こうな」 「うん! れいむもゆっくりてつだうよ!」 朝と昼はお兄さんと一緒に畑仕事。 水を運んだり、雑草や害虫を食べたりしてれいむはお兄さんを手伝う。 れいむの髪には元々あるリボンの他にもお兄さんお手製の可愛いリボンが結ばれていた。 そのおかげで野良ゆっくりと間違われることもない。 「ふー、今日も頑張ったな」 「おにいさん、おつかれさま!」 夕方になり、二人は家に帰る。 お兄さんは夕飯を作り、れいむは疲れを癒すためにゆっくりとする時間だ。 最初はれいむも夕飯作りを手伝うと言ったのだが台所は危険だという事で断られたのだった。 「おーい、れいむー。 ごはんだぞー」 「おいしそう! ゆっくりいただきます!」 テーブルの上に乗り、お兄さんと同じものを一緒に食べるれいむ。 やはり普通の野生ゆっくりのように周りに散らかすようなことはせず、綺麗に食べる。 料理を口に入れると、その美味しさに顔を輝かせた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー! やっぱりおにいさんはおりょうりじょうずだね!」 「そう言ってもらえると、作ったかいがあるよ」 とても美味しそうに食べるれいむを見てお兄さんも微笑む。 と、そこでちょっと悪戯をしてみたくなった。 れいむがミートボールを口にくわえたとき、お兄さんは彼女の頬をつっついた。 ぷにぷに 「ゆ! ごはんがたべれないからやめてね!」 ぷにぷにぷに 「ゆ、ゆっくりやめてね!」 ぷにぷにぷにぷに 「やべでっでいっでるのに゛ぃぃぃ!」 ついにれいむが泣きだしたのでお兄さんは慌てて手を止める。 そして頭を優しく撫でてあげた。 「あはは、ごめんごめん。れいむがあまりにも可愛くてね、ついやめられなかったんだ」 「ゆぅ~…」 可愛いと言われるとれいむもきつくは反論できない。 それに頭をなでなでされるのは気持ち良かった。 夕食後、お兄さんはれいむの体を洗ってあげる。 タライに薄く水を張り、れいむをゆっくりとその中に入れる。 「ゆー! つめたくってきもちいいー♪」 濡れた布で素早くれいむの体を拭く。 あまり長く水に浸かっているとれいむが溶けてしまうかもしれないからだ。 皮を傷つけない程度の力でれいむを洗い、最後に水をかけて汚れを完全に落とす。 「すっきりー♪」 れいむをタライから出し、乾いた布で水分を拭き取っていく。 「気持ちよかったかい?」 「うん! おにいさん、いつもありがとう!」 にっこりとれいむは微笑む。 その時、健康的な頬がぷるぷると揺れた。 それを見てお兄さんはその頬をぷにぷにと親指と人差し指で挟んだ。 「ゆ! くすぐったいよ!」 もちもちとした感触がなんとも心地よく、お兄さんはついつい夢中でぷにぷにと指を動かす。 「ゆゆっ、ちょ、ちょっと…いたくなってきたよ!」 人間にとっては何とも無い力でもゆっくりにしてみれば強力なのだ。 いくら優しく挟んでいても何度も同じ個所を挟まれ続けると次第に痛みが出始める。 だがお兄さんは夢中なせいかれいむの言葉が聞こえていなかった。 かまわずぷにぷにし続けるお兄さん。 「ゆ! お、おにいさん、ちょっといたいよおぉぉぉぉ!」 「ああっ!? ごめんごめん」 れいむの目にうっすらと涙が浮かんできたのを見て、お兄さんは再び慌てて手を止めた。 そしてそのままれいむを優しく抱きしめる。 「ごめんね、れいむ。つい止められなくってさ」 お兄さんの腕に抱かれ、れいむは満足げな笑顔を浮かべた。 それからしばらくそれぞれの時間を過ごして二人は就寝する。 ふとんは狭いので、れいむにはふかふかのクッションが与えられた。 細かいところに違いはあるが大体それが二人の一日の過ごし方だった。 それから数カ月が過ぎた。 れいむの体は通常の成体ゆっくりより大きい、サッカーボールほどの大きさになっていた。 肌はまるまると健康的で、黒い髪はつやつやと輝いている。 そんなある日、お兄さんはれいむに向かって言った。 「れいむ、僕はこれからしばらく出かけなくちゃいけないんだ。寂しいかもしれないけど、留守番よろしくね」 「ゆっ! わかったよ! れいむがちゃんとおるすばんしてるからあんしんしててね!」 その返事にお兄さんは満足そうに頷き、最後にれいむの頭を優しく撫でて家から出ていった。 それかられいむのお留守番が始まった。 と言ってもお兄さんがきちんと戸締りをして出かけたので野良ゆっくりが家に侵入してくることはまずない。 食事もきちんと用意されている。 れいむがする事といえばゆっくりする事ぐらいである。 そういえば最近はずっとお兄さんと一緒だったから一人になるのは久しぶりだな、とれいむは思った。 その日、れいむは久々に一人でのゆっくりを満喫した。 翌日の正午頃。れいむが相変わらずリビングでゆっくりしていると、玄関が開く音がした。 お兄さんが帰って来たと思い、れいむは嬉しそうに玄関へと跳ねていく。 そこに居たのは間違いなくお兄さんだった。 一人でゆっくりするのもいいがやはり優しいお兄さんと一緒にゆっくりする方が楽しい。 だかられいむはお兄さんが帰ってきた事がとても嬉しかった。 「ゆ! おにいさんおかえりなさい!」 顔に満面の笑みを浮かべ、目を輝かせながられいむは言った。 きっとこの後は優しい笑顔でただいまと言いながら頭を撫でてくれると思っていた。 しかし、帰って来たお兄さんの反応はれいむにとって意外なものだった。 「チッ、そういやテメェがいたんだったな」 お兄さんは冷ややかな目でれいむを見下し、舌打ちをしたのだ。 今までお兄さんにそんな事を言われたことが無かったれいむは戸惑った。 一体どうしたのだろう。何か嫌なことでもあったんだろうか。 れいむは考えた。きっとお兄さんは今機嫌が悪いんだ。 だから自分の笑顔で少しでも心を癒してあげよう、と。 もう一度顔全体に笑みを浮かべ、れいむはお兄さんの方を向いた。 「おにいさん! ゆっくりしていっゆ゛ぶぅぅぅぅぅ!?」 言い終わらないうちにお兄さんのつま先が顔面にめり込み、蹴飛ばされた。 れいむには一体何が起きたのかわからない。 しばらく吹っ飛び、れいむの体は壁に激突した。 蹴られた痛みと壁に叩きつけられた痛みがれいむを襲う。 「ゆ゛う゛ぅぅぅぅ!! い゛だい゛よ゛おぉぉぉぉぉ!! どお゛じでこんなごどするの゛ぉぉぉ!!」 「あーうるせぇ! ガタガタ喚くな!」 「ゆ゛うぅぅぅ!! いいかげんにしないとれいむおこるよ!」 ぷくぅーっと体内に空気を取り込み、眉を吊り上げて威嚇するれいむ。 直後、お兄さんの低空右アッパーが綺麗に顔面に叩きこまれた。 「ゆ゛ぶぶうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 れいむは再び顔をへこませ、弧を描いて壁に衝突するまで飛ぶ。 べちゃりと音を立ててれいむの体が床に落ちた。 その目には涙が浮かんでいる。今にも泣きだしそうな状態だ。 「ゆ゛うぅぅ! おにいさん、いったいどうしちゃったの゛ぉぉぉ!?」 「あぁ? どうしたもこうしたも俺は最初から…」 そこまで言った時、お兄さんは何かを思いついたような顔になり、ニヤリと意地の悪い笑みが浮かんだ。 「そう、これが俺の本当の性格なのさ。俺は最初からお前の事なんか大嫌いだったんだ」 「ゆ゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」 れいむの心は傷ついた。 でもそんなはずはない、自分がお兄さんが大好きなように、お兄さんも自分が好きなはずだ。 だってあんなにも一緒にゆっくり過ごしたじゃないか。あんなにも優しくしてくれたじゃないか。 これはきっと何かの間違いだ。そうに違いない。 「う、うそだよっ! おにいさんはそんなひとじゃないよ! れいむにはわかるもん!」 「へぇ…知った風な口をきくねぇ」 不敵に口を歪ませ、お兄さんはれいむの頭に手を乗せた。 一瞬、れいむはいつも通りなでなでしてもらえると期待した。 だがその希望はすぐに消える。 お兄さんはれいむに乗せた手で一気に頭から押さえつけた。 「ゆ゛べええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!! や、やべでえぇぇぐるじいぃぃぃよ゛おぉぉぉぉぉ!!」 「饅頭ごときに理解されるほど人間は単純じゃねぇよ!」 さらに体重を乗せるお兄さん。 圧倒的な力で押さえつけられ、れいむの体が横に伸ばされた。 その口の端からは少量の餡子が漏れ出している。 「ごべんなざいいぃぃぃぃぃぃ!! も゛うゆる゛じでえぇぇぇぇ!!」 涙を流し、れいむは必死に懇願する。 それでもお兄さんは押しつぶすのを止めなかったが、しばらくすると興味が無くなったかのように別の部屋へと移動した。 誰もいなくなった部屋でれいむは一人、ゆぐゆぐと泣き続けていた。 夜、お兄さんは一人で夕飯を食べていた。 その近くの床ではれいむがぐうぅっとお腹を鳴らしている。 だがお兄さんはれいむなどいないかのように、その音を無視して夕食を食べ続けている。 「ゆ…お、おにいさん、おなかすいたよ…」 びくびくしながられいむはお兄さんに言った。 今日は昼から何も食べていないのだ。いつもならお昼ご飯もあるしおやつもある。 そんな生活に慣れてしまっていたれいむにとってお昼ご飯抜きは相当堪えていた。 目の前でお兄さんがとても美味しそうな夕飯を食べていれば尚更だ。 「あん? ったく、しょうがねぇな」 お兄さんは食事していた手を止め、台所へ向かって行った。 それを見たれいむは心の底から安堵した。 頼んでも貰えるとは思っていなかったし、何よりまた蹴られると思っていたからだ。 今日は美味しいご飯をたくさん食べてゆっくり眠ろう。 きっと明日になったらお兄さんはまた優しいお兄さんに戻っているはずだ、とれいむは考えた。 しかし、お兄さんが持ってきた物はれいむが予想していた物とは全く違っていた。 「ほらよ、散らかすんじゃねぇぞ」 れいむの前に差し出された皿には小さな破片や剥いた皮等の野菜クズが盛られていた。 見るからにまずそうな野菜の欠片。しかも量も少ない。 てっきりお兄さんが食べているものと同じものが貰えると思っていたれいむはつい抗議してしまった。 「ゆ! おにいさんとおなじものをもってきてゆべっ!!」 当然のように踏みつけられた。 餡子を吐きだす一歩手前の力で踏まれ、れいむの目から涙が溢れる。 お兄さんは不機嫌な様子でその足をぐりぐりと動かした。 「ゆぐっ! うべっ!」 「何で饅頭なんぞに人間様と同じ食事を作らなくちゃいけないんだ? あぁ?」 「ご、ごべんなざ、うぎぇっ! も゛うやべぶぇっ!」 お兄さんが足を動かすたびにれいむは苦痛の声を上げる。 「我儘言いがって。きちんと食べ物が貰えるだけありがたいとは思わないのか?」 「ばい゛、あ゛り゛がどうございばず、も゛うわ゛がばばいい゛ばぜん!」 それを聞いたお兄さんは足をどけ、再び夕飯を食べ始めた。 れいむはダメージを受けた体を引きずってテーブル近くに置かれた皿へと辿り着き、野菜クズを食べる。 空腹は最高の調味料という。 普段ならさほど美味しいと思えないであろう野菜クズが、今は最高の食べ物だとれいむには思えた。 いくらかお腹が満たされるだけでも心の落ち着きが大分違う。 「むーしゃむーしゃ、しあわぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 突然、おもいっきり蹴飛ばされた。 昼間と同じように、壁にれいむの体が叩きつけられる。 違うのは今回は蹴りの威力が増しているということ。 普通のゆっくりなら潰れてもおかしくはないほどの衝撃。 だがこのれいむは通常より体が大きく、弾力性も少々増しているため死ぬまでには至らなかった。 とはいえ無事なわけはない。れいむは次々と餡子を吐きだした。 「ゆ゛げっ、ゆ゛げぇぇぇぇっ、どっ、どお゛じでえぇぇぇぇぇぇ! でいぶなにも゛じでないよ゛おぉぉぉぉ!! ゆげっ!」 「うるせぇ! 今度その不快な言葉を発しやがったら命はないと思え!」 イカシンイカシン怒り心頭といった様子でお兄さんは額に青筋を立てながられいむを怒鳴る。 どうやらお兄さんはゆっくりが食事するときに言う「むーしゃむーしゃしあわせー♪」が大嫌いなようだ。 その餡子も自分でかたずけろ、とお兄さんはれいむに言った。 「ったく、テメェらは人をいらつかせる為に生まれて来たとしか思えねぇな」 しばらくして夕食を食べ終わり、皿を重ねて台所へ持っていくお兄さん。 テーブルの下では、這いずって戻って来たれいむが涙を流しながら黙々と野菜クズを食べていた。 これはきっと悪い夢だ、とれいむは思った。 そうでなければあの優しいお兄さんがこんなことするはずない。 きっと明日目を覚ませばお兄さんが微笑んで抱きかかえてくれるはずだ。 しかし、次の日もまた次の日も殴られ、蹴られた。 それどころか前にお兄さんが結んでくれた可愛いリボンも没収された。 お兄さんいわく、ゆっくりなんぞにこんな装飾品はいらねぇ、だそうである。 れいむは返してと泣いて訴えたが完全に無視された。 体も心もとても痛い。こうなるともう現実だと受け入れるしかない。 お兄さんが帰って来て四日目、れいむは透明な箱の中にいた。 それは昨日、お兄さんが加工場から買ってきた物だった。 れいむが飛び跳ねるのが鬱陶しいということで購入したのである。 だがれいむの方にしてみればたまったものではない。動けないという事はそれだけでゆっくり出来ないことなのだ。 朝から晩まで箱詰めにされ、野菜クズを食べる時のみ体が自由になる。 動けず、窮屈すぎてまともに眠れもしないのでれいむの精神は擦り減っていった。 その日の夕方。お兄さんは突然れいむを透明な箱から出し、その両頬に手を添えた。 今までれいむを殴る蹴るばかりで、ろくに会話もなかったお兄さんが突然そんなことをしたのに、れいむは驚いた。 だがそれと同時に心が安らいだ感じがする。 どれだけひどい扱いをされても、れいむはお兄さんが大好きだった。 だからお兄さんの手の感触がとても嬉しい。 頬をぷにぷにとつねられた。どこか懐かしい感触。 まだ数日しか経っていないのに、れいむにはもう何年もぷにぷにされていないように感じられた。 ああ、やっと優しいお兄さんに戻ったんだ、とれいむは安心した。 しかし。 ブチッ 突然の左側から音が聞こえ、何事かとれいむは戸惑った。 目の前ではお兄さんが右手で肌色をした何かの切れ端を持っている。 そして左頬の違和感は一体――。 「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!! いだいよ゛おおぉぉぉぉぉぉ!」 皮を千切られた激痛がれいむを襲う。 幸い餡子はそれほど漏れていない。 しかし、体の一部を力任せに引き千切られる痛みは我慢できるものではない。 れいむは盛大に涙を流し、泣き叫んだ。 「お゛にい゛ざぁぁぁん゛! やべでぇぇぇゆ゛ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」 ブチッ、ブチッ、ブチッ だがれいむの言葉を無視し、お兄さんは次々とれいむの頬を千切ってゆく。 何度目だろうか、れいむの両頬が穴だらけになった頃、お兄さんは手を止めた。 「ゆぐっ、ゆぐっ、ひどいよぉ…どおしてこんな゛こどずるのぉ…」 「どうしてって、そりゃ楽しいからさ」 「ぜんぜんたのじくな゛いよ゛おぉぉぉぉぉ!!」 「俺は楽しいから問題ない」 口元に笑みを浮かべながらお兄さんはれいむを透明な箱へと入れ戻した。 無くなった頬の分だけ、先程までより箱の中には余裕が生まれている。 そこへお兄さんはオレンジジュースを勢いよく注ぎ入れた。 普段ならゆっくりが元気になる行為である。事実、れいむの体にも活力が戻って来ていた。 しかし現在、れいむの体には大きな傷跡がそこかしこにある。 そんな状態でジュースなど入れられれば――。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁ! ほっぺがい゛だいよ゛おぉぉぉぉ!!」 当然、染みる。 じわじわと傷口を侵食される痛みにれいむの精神は段々と消耗していく。 だがそれとは逆に体はどんどんと元気になっていった。 「まあしばらく我慢してくれや。そのうち傷は治るだろう」 そう言ってお兄さんは透明な箱の蓋を閉める。 その日のれいむの夕飯には再び箱の中にオレンジジュースが流し込まれただけだった。 5日目の朝。 れいむが目覚めると、もう箱の中にオレンジジュースは無く、かわりにれいむの頬がほとんど再生されていた。 眠ることによってジュースを効率よく吸収し、体の再生速度が普段より早まったのだ。 体力は元通りになったが、精神的なダメージは未だ残っている。 というよりここ数日、れいむは心が穏やかになったことはなかった。 まともにゆっくりできていなかったこともあるが、何よりお兄さんに酷い事をされるのが一番辛かった。 この間までの幸せな記憶が壊れていくような感じがするからだ。 今日も朝食は抜き、昼食は相変わらずの野菜クズだった。 だがれいむは文句を言わない。言えばまた酷い目に会うとわかっているから。 二人が昼食を食べ終わった頃、家の外からうーうーという声が聞こえた。 お兄さんは急いで家の外に出る。 「うー♪ おとどけものでーす♪」 玄関の外。そこには中にとある物を入れた、標準サイズより若干大きめのうーぱっくがいた。 小さな羽をぱたぱたはばたかせ、にこにこと無邪気な笑顔を浮かべている。 その胸(と思われる部分)にはシャボネットと書かれた小さなプレートが付けられていた。 「いつもごくろうさまです」 お兄さんはれいむに対してとは違い、うーぱっくには優しく話しかける。 それからうーぱっくの中に入っている物を取り出し、かわりにお金と食べ物を入れた。 「うー♪ まいどありー♪」 うーぱっくは一礼してから空へと上昇していく。 それを見送ってからお兄さんは受け取った物を持って家の中へと戻った。 そしてそれを部屋の隅の床に敷き始める。 「ゆ? おにいさん、なにしてるの?」 「あぁ、ちょっとな」 そう言ってお兄さんは次々とうーぱっくから受け取った物を敷き詰めた。 「ん、まあこんなもんだろ」 上出来上出来、という感じでお兄さんは部屋の一角を見る。 お兄さんが敷いていたもの。それは丸い突起が表面に付いているカーペットだった。 そのカーペット地帯の周りには簡易な室内用の柵が設置されていた。 「れいむ、今日からはもうその箱の中にいなくてもいいぞ」 「ゆ! ほんとに!?」 「ああ、そのかわりここで過ごしてもらう。それでもいいか? 嫌ならそのままでも別にかまわねぇが」 と、お兄さんは今作ったカーペット部分を差す。 柵と壁に囲まれている範囲は狭いが流石に透明な箱の中よりは広い。 飛び跳ねることが出来るスペースも十分にある。 それだけでもゆっくりにとっては大きな違いである。 身動きできないのと体を動かす事が出来るのではゆっくりできる度合いが段違いだ。 だかられいむは迷うことなくカーペットの方を選んだ。 「ゆ! おにいさん! れいむはこのはこからでたいよ!」 「そうか。わかった」 お兄さんはれいむを透明箱から取り出し、カーペットの上に置く。 カーペットの突起が少し気になるがれいむは久々に体を動かせたことに満足した。 これでゆっくりできる。だが、そう思っていたれいむの底面部分を不快感が襲う。 「ゆ…? なんだかからだが…」 そしてじわじわと痛みがれいむの体を侵し始めた。 「いだっ! いだいよ゛おぉぉぉ!! どうじでええぇぇぇぇ!?」 それはカーペットの突起のせいだった。 実はこれ、お兄さんが通販で買った『ゆっくりカーペット ミニサイズ』という虐待道具である。 二日前に注文したのが今日うーぱっく運送によって届けられたというわけだ。 このカーペット、その表面の突起によってゆっくりを傷つけず痛めつけることができる代物。 お値段何と580円(送料:うーぱっくのご飯)という激安品だったので即購入したのだった。 ちなみに同時に売っていた厚底スリッパは資金不足で買えなかった。 「お゛に゛い゛ざあぁぁぁぁん! だすげでえぇぇぇぇぇ!!」 痛みにから跳ねてはまた着地したときに痛みが来る。 れいむは世にも恐ろしい無限ループを味わっていた。 「おいおい、お前がそっちの方がいいって言ったんだぞ。だからもうこの箱はいらねぇよな」 「ごべんな゛ざいいぃぃぃぃぃ! ぞ、そっぢのほう゛がいいですうぅぅぅ!!」 「ハハハ、まあ遠慮せずそこでゆっくりしていけよ」 そう言ってお兄さんはリビングから出ていった。 残されたれいむは少しでも痛みを紛らわすためにもただ叫び続けるしかない。 「い゛だい゛よ゛おお゛ぉぉぉぉ! ぜんぜんゆ゛っぐりできな゛いよ゛ぉぉぉぉぉ!!」 五時間後、リビングにお兄さんが戻ってきた。 れいむは相変わらず部屋の隅でとび跳ねていたが、その顔には生気が殆ど無くなっている。 喋る力もなくなったのか、お兄さんを見ても唇を動かすだけで声は出せずにいた。 普通のゆっくりがゆっくりカーペットに耐えれる平均時間は約六時間。それ以上はゆっくりできないストレスで死んでしまう。 既に六分の五を過ぎたれいむの反応も当然だった。 そんな虚ろになった目で跳ねるれいむをお兄さんはキャッチし、再び透明な箱へと入れ戻す。 「ゆ゛…ゆぐっ……ゆ゛ぅ…ゆ゛…」 そして大量のオレンジジュースをれいむにかけて蓋をし、そのまま放置する。 明日になれば元気になっているだろう、と考えたお兄さんは台所へ行き、夕飯の支度を始めた。 人のいなくなったリビングにはれいむの呻き声だけが反響していた。 六日目。 お兄さんの考え通り、れいむは元気になっていた。 げっそりしていた肌はある程度丸みを取り戻し、目にも輝きが戻っている。 だがその顔には一つ足りないものがあった。 笑顔。いつもは標準でゆっくりれいむに張り付いているそれが全く無い。 それにどういうわけか今日はお兄さんもれいむを虐めようとはしない。 ボーッとしたまま何も喋らず、何も食べずに遠くを見つめ続けて一日が過ぎた。 夜になり、お兄さんが大きなお皿を持ってれいむの前にやってきた。 だがれいむは反応せず、虚ろな目つきで遠くを見つめたままである。 そんな沈んだ顔つきのれいむをお兄さんは箱から取り出し、お皿をれいむの前に置いた。 「辛気くせぇなぁ。これでも食って元気出せよ」 「……ゆ?」 れいむは目の前に出された夕飯に目を向け、驚いた。今日初めての反応である。 そこにはここ数日触れることすらできなかった豪華な、お兄さんが食べている物と同じ料理が盛られていたからだ。 てっきり野菜クズだと思っていたれいむは目を輝かせたが――それと同時にある事が思い浮かんだ。 もしかして毒か何かが入っているんじゃないか。 今まで虐められてきたれいむがそう考えるのも無理はない。 だから彼女は目の前の食べ物には手を着けなかった。 その様子を見てお兄さんはれいむに言う。 「安心しろよ。毒は入ってねぇ、約束する」 「…ほんとう?」 「ああ、本当だ」 完全に信用したわけではなかったが、れいむはそろーりと少しだけ食べ物を口に含んだ。 刹那、口内に広がるとても美味しい味。 一度食べ始めると後は止まらなかった。 昨日の夜から丸一日何も食べていなかったれいむは勢いよく、しかし周りにこぼさないように綺麗に食べていく。 勿論、また蹴られてはたまらないので何も言わずに黙々と咀嚼する。 むしゃむしゃと食べ続けるれいむはいつの間にか涙を流しながら笑顔になっていた。 七日目。れいむはほとんどお兄さんが出かける前の状態に戻っていた。 肌はもっちりしつつも張りがあり、髪も黒々と流れるように美しい。 れいむはご機嫌だった。 昨日久しぶりに豪華な晩ご飯を食べただけでなく、今朝もとても美味しい朝ご飯を沢山貰ったからだ。 しかも昨日今日とお兄さんに一度も酷いことをされていない。 それどころかあの窮屈な箱から出して貰った。もちろん、ゆっくりカーペットの上ではなく普通の床の上にだ。 さらに以前お兄さんに取られた可愛いリボンも再び結んでくれた。 どうして突然お兄さんが優しくなったのかはわからないが、とにかくれいむは久々にゆっくりと過ごしていた。 お兄さんは椅子に座って本を読んでいる。れいむはその邪魔をしないように部屋の隅でゆっくりしていた。 そんな時、コンコンと誰かが玄関をノックする音が聞こえてきた。 「鍵はあいてるぞー」 お兄さんの言葉が聞こえたのか、ガチャリとドアが開く。 一体誰だろう、とれいむは玄関を見た。 その開け放たれた扉の向こう側にいた人物とは――。 「ただいまー!」 「おう兄貴、お帰り」 「ゆ゛うぅぅぅぅぅ!? おにいさんがふたり!?」 そこにいたのは紛れもなくお兄さんだった。見間違える筈がない。 れいむと共に数か月間仲良く過ごし、そしてこの一週間虐待していたお兄さんだ。 だがそのお兄さんは今れいむの隣にいる。 れいむにはわけがわからない。 何故お兄さんが二人もいるのか。一体どちらが本物のお兄さんなのか。 混乱するれいむの横で、同じ姿の二人のお兄さんは談笑していた。 「僕の旅行中、留守番ありがとう」 「他ならぬ兄貴の頼みだ、いいって事よ」 そう、このお兄さん達は双子の兄弟なのだ。 優しい兄お兄さんが旅行に行っている間、怖い弟お兄さんがれいむを虐待していたのだった。 ややこしいのでここからは兄を"お兄さん"、弟を"鬼意さん"とする。 よく見れば細かい部分は違っているが、れいむから見ると二人は全く同じ顔をしていた。 「れいむ、ただいま。元気にしてたかい?」 お兄さんはれいむの頭に手を乗せた。 一瞬、また押さえつけられるのではないかと思い、れいむの体がビクッと震える。 しかし、お兄さんの手はれいむを潰すどころか優しく頭を包み、撫でてくれた。 とても懐かしい感覚。思わず涙が溢れそうになる。 だが今はそれどころではない。 「ど、どうしておにいさんがふたりもいるの!?」 その言葉を聞いたお兄さんはおや、という顔をした。 「何だ、言ってなかったのか?」 「いやぁ、ちゃんと言ったぜ。同じ顔の人間が二人っていう光景に対応できねぇだけじゃねぇの?」 平然と嘘をつく鬼意さん。 あまりにも堂々としていたのでお兄さんはそれが嘘だとはこれっぽっちも思わなかった。 なるほど、と頷いてからお兄さんはれいむを持ち上げ、抱きしめた。 久しぶりの温かい感触。やっと優しいお兄さんが帰って来たんだ。 と、れいむが心の底から安堵したとき、彼女の両頬に涙が流れた。 「ゆぐっ…ゆぐっ…おにいさあぁぁぁぁぁん!!」 「おいおい、どうしたんだ? 突然泣いたりして」 「多分兄貴に久しぶりに会えての嬉しいんだろ」 戸惑うお兄さんの後ろで、鬼意さんはあさっての方向を見ながらニヤニヤ笑っている。 そういうことか、とお兄さんはれいむを優しく抱擁した。 しばらくするとれいむは泣きやみ、お兄さんの顔を見上げた。 そこには自分に向けての温かい笑顔が浮かんでいる。 ふと見ると、鬼意さんは眠たそうに欠伸をかましていた。 「僕のいない一週間、いい子にしてたかい? 何か変わったことはなかった?」 「ゆ! それが、あのおにいさんが…」 瞬間、れいむに悪寒が走った。 何か鋭いもので体を突き刺されたような感覚。 それは自分の真正面、お兄さんの背後から来ているように感じたれいむはその方向を見る。 そして再び戦慄が走った。 今まで宙を漂っていた鬼意さんの両目が真っ直ぐれいむに向けられていた。 まるで獲物を睨みつける蛇のような眼。それがはっきりとれいむを捕えている。 目は口ほどにものを言う。 鬼意さんの目は語っていた。『言えば殺す』と。 「あ…あのおにいさんがとってもやさしくしてくれたよ! だからだいじょうぶだったよ!」 作り笑顔でれいむはおにいさんに言った。 お兄さんに嘘を言うのは辛かった。だがもうこれからは辛い思いをしなくていいのだ。 だからこれが最後の苦痛になると思えばなんということはない。 これからはまた優しいお兄さんとゆっくりした時間を過ごすのだから。 「はは、二人が仲良くなってくれたようでなによりだよ」 れいむをだっこしながらお兄さんは笑う。 つられてれいむも笑った。今度のは作り笑顔ではない。 ついでに鬼意さんも笑った。しかし目は笑っていない。 「じゃあこれからも二人で過ごしても安心だね」 「…………ゆ?」 お兄さんの言葉が理解できなかった。 思わずお兄さんを見上げるれいむ。その顔には相変わらず笑顔が浮かんでいる。 「ごめんね、これを機に本格的に世界中を旅しようかと思ってね。多分次は数年は帰ってこれないと思うんだ」 一体お兄さんは何を言っているんだろう。れいむは理解できない。いや、したくなかった。 もう悪夢は終わったのだ。今日からは優しいお兄さんと一緒にゆっくり暮らせるはずだ。 なのにお兄さんはどうしてそんな事を言うのだろう。 「だから、これからはこいつと一緒に暮らしてね」 と、お兄さんはれいむを床に置き、弟を見て言った。 鬼意さんはこいつ扱いかよと苦笑いしているがれいむの耳には入っていない。 れいむは既に理解していた。 この二日間、鬼意さんが自分を虐めなかったのは優しいお兄さんが帰ってくるからだと。 きちんとした食事や箱から出してくれたのも以前の体型に戻すためなのだ。 だが今度はお兄さんは長い間帰ってこないらしい。 なら…一体これから自分はどうなってしまうのだろう。 「そういうわけだ。まあこれからも宜しくな」 ぽんぽんとれいむの頭を叩く鬼意さん。 れいむはガタガタと震えているが、その様子は鬼意さんの体で隠されてお兄さんからは見えない。 今にも涙を流しそうなれいむの耳元で、鬼意さんはれいむにだけ聞こえる声で囁いた。 「安心しな。お前は兄貴のお気に入りだ、殺しゃしねぇよ。…まあ死んだ方がマシとは思うかもしれねぇがな」 れいむはゆっくりと理解した。 この悪夢は永遠に終わることがないのだと。 終わり あとがき 前作はかなりやりすぎ感があったので今回はなるべく普通の虐待を書いてみました。 でもなんだか難しいですね。文章力が欲しいなぁorz fuku2088の作者様。誠に勝手ながら、無断で設定を使わせていただきました。申し訳ありません。 今まで書いたもの それいけ! ゆっくり仮面 ゆっくり仮面の憂鬱~邪悪な心~ お兄さんの逆襲 前後編 このSSに感想を付ける
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ゆっくりいじめ系3098 ゆっくりずvs2 から ZUNNNNNNNNNNN…… 突然に発射されたドススパーク。 当然何匹かのゆっくりは巻き添えとなり粉々になった。 生き残ったゆっくり達はゆっくりと目を開ける。 「ゆう~……」 そして砂煙がはれる 「どす!!」 「ゆ!」 ドスも視界がはっきりした。 そしてそこには…… 膝を突いてうなだれる人間の姿があった。 しかも槍を持っていた手が半分なくなっていた。 「ゆ、ゆ、ゆ……ゆうううううううううううう!!!」 ドスは雄たけびを上げた。 「ゆ? かったの?」 「ゆ~? まりさたちのかち!?」 「そうだよ! みんなの勝ちだよ!!」 「「「「「ゆゆ~~~ん!!!!!」」」」」 ドスの勝利宣言に群れが一気に沸き立つ。 「ばかなにんげんがしんだね! ざまあみろだね!!」 「ゆっへっへ! やっぱりまりささまにかなうはずなかったんだぜ!」 「しょせんいなかものね! おお、ぶざまぶざま」 「わかるよ~はいぼくしゃなんだね~」 「ほーーーーーーーーけーーーーーーーーー!!」 普通ゆっくり達は彼に群がり体当たりを始めた。 一方巨大ゆっくり達は、群れの被害を確かめたり、ドスの元に駆け寄り気遣ったりしていた。 「ゆぅ……どす、だいじょうぶ?」 「大丈夫だよ。もう、ドスパークは撃てなくなっちゃたけどね……」 「どす、まりさのたいはぜんめつしちゃったよ」 「ありすのたいもよ……」 「ゆぅぅぅ……また群れを頑張って作り直さないとね……」 たった一人の人間にこれだけの被害。 ドスは考えを改めようとしていた。 「みんなゆっくり聞いてね……これだけの生き残りじゃ、とても人間の村に攻める事なんてできないとおもうよ。 だから……一旦山に戻って体制を立て直そうと思うんだ」 「……わかるよー。ちぇんもそうおもうよー」 「ゆうぅぅ……れいむももうつかれたよ……やまでゆっくりしたいよ……」 「なかまがたくさんしぬたたかいなんて、やっぱりとかいはじゃないわ……」 「……れいむのいってたことを、まもっていればよかったんだぜ……」 「ゆ……」 広場の隅に体の一部とリボンを残して転がっている養育係巨大れいむ。 一人で戦いに反対し続け、最後は子供達の敵をとるために挑み散っていった。 もしかしたら……この群れで一番強かったのは巨大れいむだったのかもしれない……。 ドスや巨大ゆっくり達は思った。 自分達はただ体が大きくなった事に慢心して、ゆっくりとして本当に大事な事を忘れていたのかもしれないと。 「そうだね……」 ドスも自分の間違いを認めた。 「ゆ、みんながなっとくしてくれるかな……」 「ゆん。大丈夫だよゆっくり説得すればみんな理解してくれるよ!」 巨大ゆっくり達はつき物が落ちたかのように、ゆっくりとした顔をしていた。 もう戦いは終わり。 これからは山の中で平和に暮らしていこう。 そう決心したのだ。 できれば人間とも仲直りしたい。 犯した罪は償わねばならないだろうが、自分はそれを甘んじて受けよう。 例え命を失うことになろうとも……。 ドスはひそかにそう決心していた。 一方、普通ゆっくり達はまだ彼に対して、体当たりをしたり罵声を浴びせたりしていた。 「ゆっくりしね! ゆっくりしね!」 「まりささまにひざまづくんだぜ!」 「ゆん! ゆん! れいむのかたきー!」 「ゆゆ~ん♪ しーしーひっかけてやる~♪」 グシャ 「ゆ?」 握り締められた左こぶしの下で、しーしーをひっかけようとした普通れいむが潰れていた。 そして上に載っていた普通まりさを掴むと、そのまま地面にたたきつけた。 「ゆぎゅ!?」 「「「「「「……」」」」」」 沈黙。 立ち上がる。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆ……」 恐怖でガタガタと震える普通まりさ。 彼の右手は肘から先がなくなっていた。 持っていた槍もない。 残った左手を仮面に添える。 ガコッ、という音がして仮面が外れる。 シュー、という空気が漏れる音。 その仮面の下から現われたのは――― 「「「「「「「!?!?!?!?!?」」」」」」」 人間ではなかった。 四本の牙。 醜く盛り上がった顔。 その中に蠢く血走った目。 人間とは似ても似つかない顔がそこにあった。 オオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォ! 咆哮。 それこそ世界の果てまで届くのではないかと思うほどの。 森の動物はおびえて巣の中に飛び込む。 魚達は池から飛び跳ねる。 鳥達は地面に落ちる。 虫達は大群をなして逃げる。 博霊神社の巫女は箒を止め目を向け。 箒に乗っていた魔法使いはバランスを崩し。 メイド長は抱えていたれみりゃを落とし。 月の兎は竹林の中で足を止め。 寺子屋の教師は本を読むのを止めた。 花畑の妖怪は向日葵のざわつきに目を開き。 寝ていたスキマ妖怪は五月蝿そうに寝返りをうった。 そしてゆっくりたちは……固まった。 野生動物は絶対的絶望に出くわすと体が完全に硬直するという――― グシャッ 足元にいた普通まりさを潰した瞬間、すべてが動き始めた。 「ゆぎゃ! ゆぎゃ! ゆぎゃあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”!!!」 「よ”う”がい”ざん”だぁぁぁーーーだずげでえぇぇぇぇ!!!」 「ゆ“っぐり”でぎな“びぃ”ぃ“ぃ”も“う”い“や”だあ”あ”あ“あ”あ“!!」 巨大ゆっくりやドスも恐怖で声をあげた。 そこにはもう、純然たる恐怖しかない。 彼は意味を成す言葉は一切発してはいない。 だが、ゆっくり達は悟った。 殺されると。 自分達は殺される。 ここから逃げないと殺される。 しかし、彼には一匹も逃がす気がないということ。 絶望というものを叩きつけられたのであった。 「だずげでどずぅぅぅぅ!!!」 「じにだぐな“いぃぃぃぃじにだぐな”い”よ”お”お”お”お”お”!!!」 「ゆ”あぁぁぁぁぁーーーーーーー」 「がえ”じでよ”お”お”お”お”ぉぉぉぉぉも”り“に”がえ“じでよ”お”お”お”お”ぉぉぉぉ」 「ゆゆゆゆゆゆゆゆ、ゆっ、っくり……し、しないで……にげ……」 ザグッ 「ゆぎゃあああああああああああああ」 「どす!?」 ドスの目に何かが突き刺さったた。 それは彼が投げつけたもので、外周部に鋭い刃が取り付けてあるリングブレードだった 「ま”り”ざ“の”目“があ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”ぁぁぁ」 「どすうぅぅぅ!?」 さらに シュバッ バサァ 「ゆっがああああ……ゆ“ゆ”!?!? どぼじでう”ごげな“い”のおおおおおお!?!?」 彼の左手の装置から網が発射された。 それは昨夜ゆっくり達を絞め殺したものだった。 今回はドスを包み込むとそのまま絡まり、ドスの動きを止めてしまった。 「う“ごげな”い“よ”お“お”お“お”お“お”ぉぉぉぉ!!」 「ゆっくりまってね! いまゆっくりたすけるからね!!」 「ゆっくりしないでねえぇぇぇぇl!!」 巨大ゆっくりたちはドスを救出しようと躍起だった。 だが、普通ゆっくりたちはそんな彼らを見捨てて逃げ出している。 「ゆ! むのうなどすはそこでゆっくりしんでね!」 「どすについてきたけっかがこれだよ! しんだみんなにわびいれてゆっくりしね!」 「おっきいこたちもどうざいだわ! そこでゆっくりしになさい!」 「おちびちゃんたちがしんだのもどすのせいだよ! どすがかわりにしねばよかったよ!」 「「「「「どぼじでぞ”ん“ごどい”うの“お”お“お”お“おぉぉぉぉぉ!?!?」」」」 いちいち恨み言を言って行くのも忘れない普通ゆっくり共。 一方彼はショルダーキャノンに手を伸ばし、付いていたボタンを押した。 すると、森の木に仕掛けられていた『黒いモノ』の表面が赤く光りだした。 それはゆっくりが村に入るとき、参謀巨大ぱちゅりーが気がついていたものだ。 よく見ると村の入り口の杭や、民家の壁にも取り付けられていた。 そして、普通ゆっくりがほとんどいなくなった時、ドスの近くにいた巨大まりさが逃げ出した。 「ゆ! まりさはゆっくりしないでにげるんだぜ! ドスはしっかりおとりになるんだぜ!」 「わからないよー! こわいよー!」 「もうやだ! おうちかえる!!」 それにつられるかのように他の巨大ゆっくり達も逃走を始めた。 「なんでぞんな“ごどい”う“の”ぉぉぉ!! お“い”でい“がな”い“でえ”え“え”ぇぇぇ!!!」 ドスも声を上げるが涙声のため全く威厳がない。 そんな情けない声を巨大ゆっくり達は全く聞かない。 結局ドスは動けないまま一人取り残された。 「ゆっゆっゆ!! もう少しで森なんだぜ!」 逃げ出した巨大ゆっくりまりさ。 大きい分他のゆっくりより進むスピードが速かったのだ。 まりさはドスの言葉に従って今までやってきたがもううんざりだった。 なりたくもない、隊のリーダーをさせられ、普通の大きさしかないゆっくり達の世話を焼く日々。 なんでおっきいまりささまがちびゆっくりのめんどうをみなきゃならないんだぜ! まりささまはおっきくてとくべつなゆっくりだ だからほかのちびどもはまりささまをゆっくりさせる“ぎむ”があるんだぜ! しかしドスの目が怖く、その思いをひたすら隠して生きてきた。 だがもうそんなことはやめだ! 群れをでて自分だけのゆっくりプレイスを見つけに行こう。 そしてそこで自分の群れを作り思う存分ゆっくりする。 他のゆっくりたちは奴隷だ。 自分だけの群れ。 自分のためのゆっくりプレイス。 そのためにはまずこの村からでて―――バシュン ビシャア まりさの体が突然はぜた。 まりさは痛みを感じるまもなくただの爆ぜた饅頭となった。 原因は杭に取り付けられた装置。 そこから光弾が発射されたのだ。 その正体はセントリーガン(動体感知器付き弾幕発射装置)だった。 動くものに反応し弾幕を発射する優れものだ。 続いて後続のゆっくり達が続々とやってくる。 結果は同じだった。 「ゆっくりしないでにげるよ! ゆっくりしないゆびゃあ!!!」 「ゆ? れいむがいなくなっゆべびょぼ!?」 「どぼじでぶだり“がい”な”ぐな”でる“のべぼっ!!」 「ゆびゃあ“あ”あ“あ”あ“あ”ぁぁぁぁぁゆ”っぐり”ざぜでえ“え”え“え”え“」 「も“う”い“や”だ! お”う”ち”がえ”ぶぅぅ~~!!」 「わ”がら”ない“よ”お“お”お“ぉぉぉぉ!?」 次々と爆ぜた饅頭となって行くゆっくり達。 セントリーガンは動くものに反応する。 狙われたくなければ動かなければいい。 だが森に帰るには動かなければならない。 すでにゆっくり達の命運は尽きていた。 森に行けないと判断し村に戻っても、村の中にあるセントリーガンで撃たれる。 あるゆっくり達はドスのいるところまで逃げてきたが、それでもセントリーガンから逃れる事は出来なかった。 ドスは目の前で群れのゆっくりが爆ぜるのを見ているしか出来なかった。 「ゆ”う”う”う“う”う“……」 「どぼじでごん“なごどに”ぃぃぃぃぃ……」 「どず……どぼじでだずげでぐでな”い”の”ぉぉぉぉ」 「どずがに“ん”げん“を”だお“ずな”ん“でい”だっだがら“だぁぁぁ」 「な“ん”でどずばう”だれ“でな”い“ん”だあ“あ”あ“ぁぁぁぁ!!」 「う“ら”ぎり“も”の“ぉぉぉぉぉ!!」 「(ち、違うよ! 裏切ってないよ! それに助けたくても動けないんだよ!)」 ドスは現在ワイヤーネットに包まれており動けないし、口を動かせない状態にあった。 だがそのおかげでセントリーガンの狙いから外れていたのだ。 「う“ら”ぎり“も”の“の”どずは“ゆ”っぐり”じね“ぇぇぇぇぇ!!」 「じね“ぇぇぇぇぇ……」 「じね”ぇぇぇぇぇ」 「「「「「じねええええええええ!!!」」」」」 「(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい)」 ドスは目を瞑りつつひたすら謝った。 そして怨嗟の声を受け続けた。 そして――― 「(ゆっ……?)」 何も音が聞こえない。 ドスはゆっくりと目を開いた。 目に飛び込んできたのは―――死に絶えた群れのゆっくり達だった。 もうどこにも動くゆっくりはいなかった。 ただただ、物言わぬ死体が転がっているだけ。 「ぁ“ぁ”ぁ“ぁ”ぁ“!!!」 ドスは声にならないうめき声をあげた。 無能な自分のせいで。 力ない自分のせいで。 群れのみんなが死んでしまった。 もういやだ。 自分もこのまま殺されよう。 ドスはいつの間にか目の前に立っていた彼に目を向ける。 既にセントリーガンの自動探知は切られており、自由に移動できるようになっていた。 「(妖怪さん……まりさを早く殺してね……早くみんなの所にって謝らないといけないから……)」 彼は腰につけていたもう一個のリングブレードを手に取り―――ドスの網を切り裂いた。 「ゆ?」 ドスはまさかの展開に驚いた。 「ど、どういうこと……?」 ドスは恐る恐る彼に尋ねた。 彼はリングブレードを地面に投げ捨てた。 そして――― ドスを思い切り蹴り上げた。 「ゆびぃぃぃ!?」 突然の衝撃に悲鳴を上げるドス。 三メートル以上あるドスの巨体が宙に浮く。 その浮いたところに鋭い回し蹴りが炸裂。 「ゆぎょっ!!」 ドスは勢いよく後方に吹っ飛ばされ地面を転がった。 体があまりに勢いよく吹っ飛んだので、頭の帽子はその場にパサリと落ちた。 ドスにとってすべてが初めての経験。 この体になってからというもの、体の皮が厚くなり中身も増えた事から外からのダメージにはある程度の耐性があった。 特に打撃に関しては並みの攻撃なぞドスには無意味である。 だが、彼の攻撃は違う。 人間の腕力を軽く凌駕しているそれは、人間が喰らえば骨が砕かれ、下手すれば一撃で死に至らしめる。 ドスにとってもそれは同じだった。 さすがに死には至らないものの、今までに受けたこともない程の衝撃にドスはのた打ち回った。 「い“、い”だい”い“い”い“い”ぃぃぃぃぃ!! どぼじでごん”な”に”い”だい“の”お“お”お“お”お“ぉぉぉぉ!?!?」 彼が再び近づいてくる。 足が振りかぶられた。 「ひっ!」 ドッガァァァ 「ゆぎゃぎゃぎゃぎゃぁぁぁぁぁ!!」 ドスはゴロゴロと転がり村の入り口までいってしまった。 「も“……も”う”い”や”だあ”あ”あ”あ”ぁぁぁ……だずげでぇぇぇぇぇ」 ドスは入り口からむらの外に出ようとするが シュバッ ドーン 「ゆびゃああああああああ!?」 ドスの目の前にショルダーキャノンの弾が炸裂し、ドスは逃げる事ができなかった。 彼は再びドスの近くに立った。 「ど、どううじでごんなごどずるのぉぉぉぉ!!?!?」 目の幅と同じ涙を流しつつドスは叫ぶ。 その言葉がわかったのか、彼は飛び上がると失った右腕の肘でドスの頭頂部を穿った。 「ゆ“ぼぉ!!」 頭頂部に大きな凹みができる。 「ゆがっ! ゆがっ! ゆがっ!」 ドスは痛みに苦しみながらもその理由を知った。 ―――そこからはただただ一方的だった。 ありとあらゆる方向からの打撃。 彼は決して武器を使わなかった。 それに動きを拘束もしていない。 ある意味、ドスも抵抗すれば生き残るチャンスはあったのかもしれない。 曲がりなりにも三メートルを越す巨大な体躯。 飛び上がって潰せば彼でも相当なダメージを負ったかもしれない。 だが、群れの仲間を失い、先の咆哮で戦意をそがれたドスは抵抗する事を放棄した。 一時は殺されて楽なりたいと思ったが、与えられる痛みによって生存本能が強くなった。 その結果、ただただ、 『逃げたい』『生きたい』『助かりたい』 そのための行動さえもしないのに、ドスはその願望にすがり続けた。 攻撃によって餡子が漏れ出し。 足も破壊され動けなくなり。 痛みだけで満たされた全身をのた打ち回らせ。 ドスは村の中を転がり続けた。 そして ドサ 「ゅ“……ゅ”……ゅ“……」 ドスは小さくうめき声を上げるのみ。 ドスの体は、蹴られた衝撃で外の皮が薄くやわらかくなり、所々破れたり、伸びきっていたりして 、三メートルあった高さが半分ほどにまでになっていた。 彼はいまだドスの目に刺さっていたリングブレードを引き抜く。 それさえドスは反応しなくなっていた。 いまや二メートル近くある彼がドスを見下ろす形だ。 そしてドスの体を踏みつけ、リングブレードを振り下ろした――― 「な、なんだこりゃ……」 後日、村の様子を見に来た人間達は異様な光景に目を見張った。 ゆっくり達が建てた杭の上や村の木々にゆっくりの皮がぶら下げられていた。 広場にはドスのものと思われる皮が、大きく広げられる形で杭に打ち付けられていた。 同時に、ゆっくりのものと思われる餡子が村の広場に高々と積まれていた。 人間達は気味悪がり、やがてこの地を去っていった。 誰もいなくなった廃村。 ゆっくりがいなくなった森。 何者にも介入される事がなくなった大自然の営みだけがその地に残った。 地面から小さな植物の芽が出たところで画面は暗転した。 続いて黒い画面に流れるスタッフロール 「どうだ? いいできだろ?」 「ど、どういうこと?」 暗い部屋に男とドスまりさが居た。 このドスまりさは村で『彼』によって死んだはずのドスだ。 「わからないか? つまり、全部映画だったんだよ」 「え、えいが?」 「これだ」 男は肩に抱えらるほどの大きさの、黒い箱のようなものを持ってた。 「外の世界から流れてきたものらしい。これにはその時の光景を記録する働きがある。 さらには特定の場所を拡大して写したり、小さくして写すこともできる」 そこから男はどういう経緯で映画を撮ることになったか説明しだした。 それを手に入れた男は周りの人間や河童、さらには河童を通じて妖怪の協力を得た。 そしてあの村を大きな『セット』としてつくり、下準備としてそこに居たゆっくり達を殺した。 続いて冒頭で出演したうーぱっくに、永遠亭印の成長促進薬(丸薬)を落とさせた(冒頭のうーぱっくの動作は演技)。 次に森のゆっくり達の動向を探るため、光学迷彩で姿を消したカメラマンが常にその様子を追う。 それによって例のゆっくり達の決起集会をとらえることに成功。 あとは見ての通りだ。 村にいたのは映画のために雇ったスタントマン達で、あらかじめ逃げる手はずで村を明け渡す。 その後の人間の攻撃もゆっくり達が人間を倒しているという『演出』のための狂言。 「まあ、お前達はよくできた道具だったよ。おかげでいい絵が取れた」 「……道具?」 ドスは放心した様子でそうつぶやいた。 「そうそう。映画をよくするための『生きた道具』。ほんっと、思い通りに動いてくれたとよ。 あんな反戦派れいむまで出てくるとはね~。あのちびゆっくり達絡みの演出なんて素晴しいだろ。 ちょっとしたお涙ちょうだいだよな !いや~よくやってくれたよ、ド~ス!」 男はドスの頭をポンポン叩いた。 その頭には帽子はなく、体はあの痛めつけられた時と同じくボコボコだった。 「ち、違うよ……」 「ん?」 「ドスだぢは!……群れ“の”み“ん”な“ば……道具な”ん“がじゃな”い“よ”おおおぉぉぉぉぉ!!!」 ドスは泣きながら叫んだ。 「ぞれ“に”お“兄ざん“が言っ“て”る“ごども”全部嘘だ! ドズだぢばみ”ん“な”で決め”で人間を“攻め“だん”だ! ぞれ“が全部人間の”考“え”だ事だっだな”ん“て”嘘だぁぁぁぁぁ!!」 そうでなければすべてが無駄になる。 死んだ仲間の意思はすべて虚言だったことになる。 ドスは認めるわけにはいかなかった。 「ハァ……惨めだな。まあいい、これをみろ」 男が部屋を明るくした。 そして、映像を映し出していたモニターの横に居たのは。 「ゆ”ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ」 ドスの絶叫が響いた。 そこに居たのは『彼』だった。 仮面を外した、素顔をさらした状態でそこにいた。 「ごな”い”でえええぇぇぇぇ!! ゆ“っぐり”じな“い”であ“っち”に“いでぐだざいいいいいいいいぃぃぃぃ!!」 体に刻み込まれた痛みと恐怖を思い出し、ドスは半狂乱状態になった。 「ははは、あまりびびらすなよ!」 「あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”……ぁ……?」 フレンドリーに『彼』に近寄っていく男。 「ぐぉぉぉぉぉ」 うなり声を上げる『彼』。 「それ外せよ。ちゃんと話せないだろ?」 「ぉぉぉぉ……」 『彼』は頭の後ろに手を回した。 そして何かを掴むと下に降ろし……その顔を外した。 「むせるーーー!!」 「ご苦労さん」 「ああ……久しぶりにこれ着たなあ」 「おう。どうだった?」 「いやあ~思うけど、よくできてるよな~これ」 「ど、どう”い“う”ごど“お”お“お”お“お”ぉぉぉ!?!?」 「だから言ってんだろ。映画だって」 『彼』が説明を始める。 彼の名前は『鬼井山郎』。 男の友人であり、とある道場の師範。 今回、男の依頼を受け映画に出演。 アクション全体を請け負ったという。 「ちなみにこれは服みたいな感じでな、後ろのつまみを下げると脱げるんだ。何でも……なんていったけ? これ?」 鬼井三郎が男に尋ねる。 「ん? 外の映画の……あ~……わすれた。なんでも人間と……宇宙人って奴が戦う映画の宇宙人だ」 「そうそう。それを観た河童が装備品とか全部見よう見真似で作ったんだ。威力も近い設定で。 しかも身体能力上げる結界付き。ゆっくり相手にやりすぎだよな~」 「いやあアレでよかったと思うぞ。千匹超えるゆっくりを全部倒すんだから、派手に行かないとつまらんだろ?」 「まあな。でもドススパークは少しあせったな」 「馬鹿言え。ドススパーク用結界張ってたくせに。吹っ飛んだ腕は『あえて』張ってなかっただけだろ」 「そうだけどさぁ。腕をスーツの中に折り曲げたままだったからな、少し血流悪くなったぞ」 二人はそんな話をずっと続けていた。 一方のドスは…… 「うぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだうぞだ」 虚ろになった視点で、ひたすらそう呟いていた。 スタッフロールが終わった画面には一つの文字が書いてあった。 『―――to continue…?』 「あとがき」 最後まで読んでくださり。ありがとうございます。 途中で最後まで飛ばした方も、目に止めていただきありがとうございます。 自分がゆっくり虐待で重要なのはゆっくりの『悲鳴』なんじゃないかと 勝手に思っています。 そこを上手く書く方法を今後は模索していきたいと思います。 ちなみに何故こんなものを書くに至ったかというと…… 『ゆっくりをひたすら虐殺してみたかったから』です。 でも、途中からどんどん肉付けされてって……気づけばこんなに長く……。 それでは失礼いたします。 お付き合いくださいましてありがとうございました。 このSSに感想を付ける
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ここは、広大なゆっくり平原。 ゆっくり名所である池や、川、森、山など、ゆっくりたちが思う存分絶頂にゆっくりできる場所。 そんなゆっくり平原の辺境の森で、ゆっくり霊夢は空を飛んでいた。 もちろん自力ではない。 自力で飛べるゆっくりなど、捕食種であるゆっくりれみりゃとゆっくりふらんだけだったのだ。 ゆえにゆっくり霊夢は夢見心地だった。まさか空を飛べる日が来るだなんて。 頬が風を切って進む感覚。 ぐんぐんと流れていく景色。 徐々に、だが確実に遠くなっていく地面。 視界は広がり、遥か彼方まで見渡せる。 生まれてから死ぬまでに見ることなど、絶対に叶わない素敵な光景。 ゆっくり霊夢の小さな胸は感動でいっぱいだ。 それもこれも、みんなこの「うーぱっく」のおかげだった。 「わぁい!おそらをとんでるみたい!」 「ばかだぜれいむ!まりさたちはおそらをとんでるんだぜ!」 「うー!」 「とんでる!とんでるよ!!うわぁ~♪とりさんよりはやいや!」 「う~♪」 ゆっくり霊夢はご満悦の表情で、自分とゆっくり魔理沙を乗せて飛んでいる二匹のゆっくり種を 見ながらついさっきのことに思いを馳せた。 うーぱっく。 外見はゆっくりれみりゃを直方体にしたものだが、性質はそこまで強暴ではない。 なぜなら、出会い頭に襲撃してこなかったから。 いや、たしかに急に近づいてきたから、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙の二匹は思わず死を覚悟した。 自分たちも、今までにいた他の仲間と同じようにゆっくりれみりゃに食われるのだと思った。 だが、目を瞑り震えながら身を固めていた二匹に聞こえたのは「うーうー!」という人懐っこい声だった。 恐る恐る目を開くと目前にぱたぱたと浮遊しているそれ。 「ゆぎぃっ!」 恐怖の声をあげる二匹。 しかし覚悟した苦痛はいつまでもやってこない。 よく見るとそれは一つの動作を繰り返している。しかもにこにこ笑顔で、だ。 顎を上げるようにしているそれをゆっくり霊夢はこう解釈した。 「ゆぅ……?なぁに?の、のせてくれるの?」 「うー♪」 いかにも!と言うように返答する。 「だっ、だめだぜれいむ!あぶないぜ!それはれみりゃだぜ!!」 ゆっくり魔理沙が警告する。多少見た目が違い、少し人懐っこいからといってそれはゆっくりれみりゃに 違いないのだ。どんなに懐いていたとしても、それが猛獣だと忘れてしまったら危険な事故が起こる。 自分たちより圧倒的に強い相手には、警戒はいくらしてもしすぎると言うことは無い。 だが、ゆっくり霊夢はそれの誘いに乗った。 すでに死んだ身だという気持ちだったからだろうか? 「ゆっくりはいるよ!」 言って飛び跳ねると、ゆっくり霊夢の体はそれの頭頂部に開いている窪みに収まった。 「ゆ?ゆ、ゆ、ゆゆゆ?」 徐々に浮かび上がってくる。飛んでいるのだ。 目線が高くなる恐怖にいくらか震えていたが、ゆっくり霊夢はすぐに慣れてしまった。 それがゆっくりと静かに飛翔していることも関係しているだろう。 「まりさー!すごいよ!おそらをとんでるみたい!」 「れいむ、うらやましいんだぜ!はやくかわるんだぜ!!まりさによこすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、それに乗ってくるくると飛んでいるゆっくり霊夢を見て顔をゆがめていた。 「ねぇねぇ、れいむはいいからまりさをのせてあげて!ゆっくりおねがい!」 しかしそれはゆっくり霊夢の言うことに反応しない。ただ「うー」と鳴くだけだった。 もどかしげに身を震わせ、声を張り上げる。 「ねぇ!ゆっくりきいてるの?まりさとかわってあげてよ!ゆっくりしていってね!」 「うーうー!!」 それをかき消すかのような大きな声でそれは鳴いた。 「ゆっ!?」 するとどこからともなく同じような泣き声が聞こえてくるではないか!やがて、いくらもしないうちに もう一匹のそれが姿を現した。 「うーうー」 「うー」 「うっうー」 「うぅ~」 何らかの意思の疎通。そして後から現れたそれはすぐにゆっくり魔理沙へと降下していった。 「ゆぅ?のせてくれるのか?だぜ」 「う~♪」 「ゆゆゆぅ~~~!」 感極まったような高めの声で慌てて飛び乗るゆっくり魔理沙。 どっしりと座ったようなそのおさまり具合は、まるでそれが自分のために存在しているかのような 錯覚をゆっくり魔理沙に与えた。 素晴らしい一体感。 これを覚えてしまえばゆっくりアリスの強制すっきりなど物の数ではない。 「すごいぜ!ゆっくりとんでるんだぜぇ!!」 「まりさ!まりさぁああぁ!!」 「れいむぅううぅぅううぅぅぅ!」 二匹はランデブーするかのようにお互いの周りを旋回し、揃って空を飛ぶ幸運を堪能し始めた。 並んで飛行し、川を越え、枝を飛び越えて流れるように飛んでいく。 地面を飛び跳ねているだけでは、決して味わえない愉悦。ゆっくり霊夢たちは今、幸せの絶頂にいると 思った。自分たちはなんて幸せなんだろう!そして、この出会いに感謝したくなった。 「ゆ?そうだ!おなまえをゆっくりおしえてね!」 「うー?」 「おなまえだよ、お・な・ま・え。れいむはゆっくりれいむっていうんだよ!れいむってよんでね!」 「うー……ぱっく……」 とまどいがちに伝えるそれ。 うーぱっく。 ゆっくり霊夢はそれを聞くと目を輝かせて 「うーぱっくっていうんだね!ゆっくりしようね!うーぱっく!」 と頬を紅潮させて言った。 「まりさも!ゆっくりするぜ!ゆっくりまりさっていうんだぜ!」 二匹のうーぱっくはゆっくり霊夢たちを乗せて何処までもいつまでも飛んでいた。 木に成っている実を貪り食べていた二匹は、いつのまにか日が傾いていることに気づいた。 空は茜色に染まっていて、吹く風も冷ややかになり、鴉の鳴き声がどこか哀愁を誘う。 沈む夕日を今までに無い高みから望んで、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙は思わず涙ぐんだ。 圧倒的な情景。 空を翔る鳥たちは、いつもこんなものを見ているのか。 髪を撫でて耳を抜けて過ぎ去る風は、こんなにも冷たく、もの悲しいものだったか。 二匹に去来する思い。 それがなんなのか理解できないし、言葉にもできない。だが、ただ「そこにある」と感じることは出来た。 二匹はなんだか無性におうちに帰りたくなっていた。 「ねぇうーぱっく!ゆっくりかえりたいよ!ゆっくりかえしてね!」 「う、うー!」 うーぱっくは一声鳴くと、もと来た空を引き返し始めた。 ゆったりとしたその飛行は、余計に「帰る」ということを意識させ、二匹の心は逸っていく。 大地が近づき、森の深緑に包まれる。 木と土の匂い。慣れ親しんだそれが二匹の鼻孔をつくと、言い知れぬ安心感がにじんだ。 ゆっくり霊夢はおうちに帰ったら家族に今日のことを言って聞かせてあげようと考えていた。 うーぱっくとの出会い、初めて大地から離れたこと。 風を切って飛ぶ感覚。 大空の青。流れ往く雲の白。夕焼けの茜色。 お日様が沈んでいくと、風が寂しく聞こえること。 きっと妹たちは羨ましがるに違いない。母はそれは凄い体験だったね!とまるで我が事のように 喜んでくれるだろう。そうだ、明日は妹達も誘ってうーぱっくとも遊ぼう!ゆっくりしたいい考えだね! ゆっくり霊夢は自然と表情が緩んでいった。 「れいむ!れいむ!!」 「ゆ?」 そんな物思いに耽っていたゆっくり霊夢を、親友のゆっくり魔理沙は緊張したような声で必死に呼びかけていた。 「どうしたの、まりさ」 見ればゆっくり魔理沙はどこか緊張した面持ちで、やや汗ばんで見える。 「かおいろがわるいよ、まりさ。ぽんぽんとらぶる?」 「ちがうよぅ!まえをみるんだぜ!!」 「?」 ゆっくり魔理沙の必死の訴えに、きょろきょろと見回すゆっくり霊夢。 「ゆゆっ!?」 そこは見たことのない場所だった。 森の中でも他に類を見ないほどに木々が鬱蒼と茂っており、空のように広がっている木の葉のせいか どこか音が遠くにあるもののように聞こえてくる。 夕暮れではあるが、ここは特に暮色が濃い。夕闇の彼方から何か得体の知れないものがひっそりと 這いずり出てきてもおかしくないと思えるほどだった。 「ここどこぉおぉおお~~~っ!?」 「うー!うー!」 「ゆっくりかえしてほしんだぜ!おうちにかえすんだぜ!」 「うっう~~!」 ゆっくり霊夢たちの叫びに声を返すうーぱっく。しかしそこに意思の疎通は皆無だ。 「うー!うー~~~!!」 誰かに呼びかけるような嘶き。 するとどうだろう、周りの森林から唱和するように同じ泣き声が聞こえてくるではないか! そしてがさがさと枝葉を揺らして現れるのは五匹のゆっくりれみりゃだ。 「ひぃっ!!」 五匹は悲鳴をあげたゆっくり魔理沙を、そのにこにことした笑顔の目のままでねめつけると 二匹のうーぱっくを取り囲むようにして羽ばたき、進み始めた。 その先には洞穴があった。 そこは巣だ。 ゆっくりれみりゃの巣窟なのだ。 「うーうー!」 「ぎゃおーーーー」 わずかに漏れ出てくる泣き声が、ゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を心胆寒からしめた。 二匹は恭しく運ばれる供物のような態で奥へ奥へと連れて行かれる。お互いを見詰め合うが どちらも涙目で震えていて歯の根があっていない。 うっすらと月光のような冷たく柔らかな光を皓々と発する岩々が過ぎ去り、湿った空気が まるでからみつくように流れている。しっとりとした天井の岩肌からは、時折水滴が落下しており 水の弾ける音がこだましている。 平常であれば、涼しくて水滴の音も耳に心地よいこの洞穴は、とてもゆっくり出来る場所であろうが すでにゆっくりれみりゃの巣になっており、それ以上に二匹はうーぱっくに連れられゆっくりれみりゃに 囲まれているのが現状だ。とてもゆっくりする暇などない。 唯一できることは、ゆっくりと死の覚悟をすることだけだろう。 どれほど進んだろうか?先にはまばゆく光るものがある。 巣の広間なのだろう、今までになく明るいそこにはたくさんのゆっくりれみりゃがいた。 体のないやつ、あるやつ、小さいやつ、大きいやつ、うーぱっく。 さまざまだ。 さまざまだが、それぞれが思う存分ゆっくりしていた。 ゆっくりと、していた。 左に目をやれば、そのゆっくりれみりゃはうーぱっくと五匹ほどで小さなゆっくりぱちゅりーを空中で キャッチボールのようにして遊んでいる。地面には親と思しきゆっくりぱちゅりーが声を上げて、弱い体を なんとか飛び跳ねさせているが、空中のそれらには決して届くことはない。 「むっぎゅぅ~~!むっぎゅぅうううぅぅ!!」 「……むきゅっ!……みきゅぅうぅ!!」 弄ばれている子ゆっくりぱちゅりーは生来の脆弱さもあいまって、すでに半分以上死に体だ。 投げ飛ばされ受け止められているので、ゆっくりれみりゃの牙で帽子はずたずたになり髪もぼろぼろ、 肌に至っては蒼白を通り越して蝋のように白くなっている。見れば右目が飛び出てぶら下がっている のがわかるだろう。 しかしそのゆっくりれみりゃたちは気にしない。玩具だからだ。下で必死に取り返そうと飛び跳ねている 親ゆっくりぱちゅりーが、とうとう口から紫色をしたクリーム状のものを吐き出していても相も変わらず にこにこ笑顔で放り投げ、受け止めて別のゆっくりれみりゃに放り投げていた。 右を見れば、そこには大きなゆっくり魔理沙がいた。 本当に大きい。1メートルくらいはあるだろうか。それに3匹のゆっくりれみりゃが群がっていた。 それらは胴体が生えていて、ぷにぷにとした手足もしっかりと動いていた。 「いいこえでなくんだどぉ~!」 「もっとだどぉ~~~!」 「そんなんじゃまんぞくできないんだっどぉ~♪」 一言ごとに平手や拳、蹴りを叩き込んでいる。その一撃ごとに大きなゆっくり魔理沙は 「ゆぐっふ!ぶぎゅぎゅっ!だべっ!やべでよぉおっ!やべっでゅんだぜ!!ぶめぎゃっ!?」 と声を上げていた。見れば皮は裂け、目は片方が飛び出しており、ところどころに餡子が滲み出ている。 「へたくそなんだぞぉ~」 「いぎゃっ!」 一匹が口に手を差し込み、歯をへし折ったのだ。これでゆっくり魔理沙の口の中には歯がなくなってしまった。 「まりゅしゃしゃみゃに……きょんなこちょしちぇ、ひぃ、たぢゃでしゅむとおみょうにゃ!だじぇ!!」 怒りと復讐心を湛えた燃えるような目。それに見つめられても三匹はにこにこ笑顔を崩さなかった。 むしろ、嘲笑の色が混じっていた。 「う~♪おまえのむれはもうないんだっどぉ~~」 「わすれたのか?どぅー」 「みんなみんな、れみりゃたちでくってやったんだどぉ~~~♪」 「なかなかうんまかったんだどぉ~☆」 「ほめてやるんだどぉ~~」 「ゆっ!?」 そうだ。そうだった。 大きなゆっくり魔理沙の脳裏にあの光景がよみがえる。 このゆっくり魔理沙は運が良いゆっくりだった。幼い頃、家族が獣に襲われたときもそれに跳ね飛ばされて すぐ側の茂みに転がり込んだことで一匹だけ助かった。その後、仲間と狩りをしていて二手に分かれたバッタ を追いかけたときも、相棒のゆっくり霊夢が追いかけた先には蜂の巣があって死んだのだった。 それから大きくなり、自分が支配する群れを持ったときまでその運の良さは発揮されていた。さらに言えば 体が大きくなったことで、自身を脅かすものが比較的少なくなっていたことも災いした。 脅威を、自分たちゆっくりは弱い立場であり、それを脅かすものが存在するということを、失念していたのだった。 それが致命的だった。 夜に、ゆっくりれみりゃの襲撃があったのだ。 自分を頂点に、おおよそ50匹はいた群れ。そのほとんど全てがたった3匹の、今目の前にいるゆっくり れみりゃによって屠られてしまった。群れには自分に及ばないまでもそれなりに大きなゆっくりもいたというのに、 まるで手も足も出なかった。 虐殺と蹂躙の限りを尽くした3匹は自分を含めた何匹かのゆっくりをこの場所に運び入れて、 自身の群れの餌や玩具としてゆっくり魔理沙たちを扱った。 それから続いた地獄の毎日がその恐るべき夜の記憶を薄めたのだった。 「これをみるがいいどぉ~~~」 一匹が飛び上がり、もたもたと上昇してゆっくり魔理沙の帽子をひっぺがした。 「ゆ゛っ!」 帽子を剥がされるという、今まで感じたことのない刺激に、思わず声を上げてしまう。 頭頂部は露出し、うっすらと餡子が滲み出て甘い匂いが漂い始めた。 すると、あたりのゆっくりれみりゃたちの目がこちらに向く。だが、その3匹はそれらを無視して 剥がしたものをゆっくり魔理沙の眼前で広げたのだ。 「ゆげぇえぇえぇえぇぇぇんっ!?!?」 帽子から、剥がれた髪の毛が垂れているが、問題はそれではない。 そこには苦悶の表情を浮かべたゆっくりたちの顔の皮がいくつも貼り付けられていたのだ。 どれもこれも苦痛と怨讐に満ちており、まるで見ているゆっくり魔理沙を恨みぬいているようであった。 自分は今までこんなものを頭にくっつけていたのか!? 「こっちはおまえのこどもなんだどぉ~~!さいごまでおとーさんおとーさんやかましかったんだどぉ~~~」 「これはれいむだどぉ~」 ゆっくりれみりゃは憤怒の形相で歪んでいる顔の皮を指す。 「こいつはぁ、こどもをまもろうとしてとびかかってきたから、ひっぱたいたらすぐしんだんだどぉ~」 「あれはもろかったんだどぉ~!わらえたんだどぉ~~~☆」 「こどものさけびが、すっごくたのしかったんだどぉ~☆」 「なかみがよじれてしぬかとおもったんだどぉ~~♪」 「ゆっぐっぐぐぐ!!!」 ゆっくり魔理沙は目の前に広げられた家族のデスマスクに悲しみの嗚咽を上げていた。 やがてその様子に飽きたのか、三匹のゆっくりれみりゃはそれを放り投げると、周りで様子を伺っていたほかの ゆっくりれみりゃたちに向かって 「こいつはもういらないんだどぉ~☆」 「すきにするんだどぅ~~♪」 「ちゃんととどめはさすんだどお~~~」 と言い放った。 「ゆっ!?ゆっぎゅりだずげでね!?」 「おまえはもうあきたんだどぉ~~」 「もっとおもしろいこといえ!」 「うっうー!うあうあ♪」 「いやあぁあぁあああぁぁぁ!!」 たくさんの爛々と輝く瞳。それらが一斉に大きなゆっくり魔理沙に向かって飛び掛っていった。 楽しそうな声に混じり、痛みをうったえ命乞いをする声が聞こえ、さらに大きいゆっくり魔理沙の皮を引き裂き 肉をかき混ぜ、引きちぎり、咀嚼する音によって覆い隠されてしまった。 また別のほうを見れば、そこにはうーぱっくやゆっくりれみりゃに餌をやっている胴体付きのゆっくりれみりゃがいた。 子ゆっくり霊夢を思い切り放り投げて、それを口で咥えて捕るというゲームじみたものだった。 「やめちぇぇええぇっ!!たちゅけちぇぇえぇぇえええぇぇ!」 「いじわりゅしにゃいでゅぇぇえええぇぇ!」 「おかあちゃあぁあぁあああぁぁぁん!!」 「うるさいんだっどぉ~、おかあちゃんならあれだどぅ~☆」 ゆっくりれみりゃの指差す先には、ただの肉塊があるだけだった。あたりに餡子を撒き散らし、わずかに見える リボンの赤が、それをゆっくり霊夢だと理解させるただひとつのものだった。 おそらく頬を左右に引っ張ったのだろう、顎下あたりから無残に二つに裂けている。 「おかぁちゃぁああぁああぁぁぁん!!!」 「いっぱいたべるんだどぉ~、たっくさんあるんだっどぉ~~♪」 「うー!うー!」 「うっう~~!」 「うぁー!うあー!」 何処もかしこもそんな様相だ。 これがゆっくりれみりゃの食事なのだった。 ゆっくりれみりゃにとって、ゆっくり霊夢やゆっくり魔理沙などのゆっくりは、餌であり玩具なのだった。 だから軽々しく弄び、蹂躙する。壊れてしまうなんて構いやしない。 壊れてしまえば捨てればいいのだ。 玩具はそこらじゅうにたくさんあるのだから。 「それはなんだどぅ~?」 大きなゆっくり魔理沙を虐めていたゆっくりれみりゃが一匹、うーぱっくのほうへとやってきた。 そのふわふわとした浮遊は、とても飛んでいるといえる速度ではなかったが、それでも囚われたゆっくり霊夢と ゆっくり魔理沙の二匹にとって脅威であることに変わりはなかった。 「うー!うあ~!」 「うあー♪うっうあ~♪」 うーぱっくが何を言っているかはわからない。しかしひょっとしたら自分たちは食べられないかもしれない。 ゆっくり霊夢たちはそんな淡い希望めいたものを抱いた。 「まりさをたすけてほしいんだぜ!!はやくはなすんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙も身をよじりながら必死に訴えかけている。だがゆっくりれみりゃはそれらを無視して うーぱっくの言葉に耳を傾けている。 「ごはんをじぶんでとるなんて、えっらいんだっどぉ~~☆」 「うあ~~☆」 「どおじでぞんなごどい゙ゔの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぉぉぉっ!!!」 「たべちゃだべだんだぜええぇぇっっ!!おいじくないんだぜえええええ!!!」 「う~?」 「おどもだぢっ!ぜっがぐれいぶだぢど、おどもだぢになれだどおぼっだのにぃいぃいぃぃぃっ」 「あじだはがぞぐどいっぢょにもっどゆっぎゅりじだがっだのにぃぃいいいい!!」 「なんでだばじだの?どおじで!?どおじでぇえええええぇぇぇぇっ!!??」 涙をだくだくと流しながら絶叫するゆっくり霊夢。 しかしうーぱっくは意に介さず、ただ一言 「うー!」 とだけ鳴いた。 「あっぁつぁつっ!!へんだよぉっ!!れいむぅっ!!へんなんだぜぇ!」 ゆっくり魔理沙が声を上げる。今までにない声色に、ゆっくり霊夢は嗚咽を上げながらも振り向いた。 「どうしたの、まりさ」 「なんかからだがへんなんだぜ!おかしいんだぜ!!」 ゆっくり魔理沙は、自身に襲い掛かりつつある異変に気づいた。体が崩れ始めているのだ。 「と、とけてるううぅうううぅぅぅ!!!まりざのかりゃだがどげでりゅんだじぇぇえええぇぇぇ!!!」 左右に体を暴れさせるゆっくり魔理沙。しかしその体はにちゃにちゃとした粘液が付着し、とろとろの 液状になり流れ始めていた。 これがうーぱっくの最大の特徴だ。 うーぱっくはゆっくりれみりゃの変種である。つまり捕食種なのだ。しかしうーぱっくは成長すると 経口摂食をしないようになり、このようにゆっくりを自身に乗せてじょじょに溶かしていってしまうのだ。 何故かはわからない。 しかし自然界にも似たような生き物が存在するのだから、それほど不思議なことでもなかった。 「うわあああぁあぁああぁぁっっ!!まりゅいざをだじゅげでぇええぇぇっ!!おねがいいぃい!!」 「うー?」 「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」 よくわからないと言うように唸るうーぱっくに、ゆっくり魔理沙の絶叫は続く。 「まりざああああぁぁぁっ!!ま゛ぁり゛ざあああああぁぁぁぁっ!!!!」 さらにゆっくり霊夢の絶叫も重なる。思わず聞きほれたくなるほど甘美なる合唱。 そこにゆっくりれみりゃが声をかけた。 「すのばしょをいえばたすけてやるんだどぅ~」 「ゆっ!?」 「さっきかぞくっていったんだど~~~♪」 「えらぶんだどぉ~~~★」 「いっ、いやだよ!!かぞくはだいじだもん!」 「どっちでもいいんだっどぅ~~☆」 いつのまにか、うーぱっくの周りにはあの三匹のゆっくりれみりゃが集まっていた。 「おねぇしゃんおしょいね?」 ちっちゃなゆっくり霊夢は巣の中で不安そうに母ゆっくり霊夢に話しかけた。 「だいじょうぶだよ!まりさといっしょだったし、きっとまりさのすでゆっくりしてるんだよ!」 「ゆっ!きっとしょうだにぇ!うりゃやましいよ!」 母ゆっくり霊夢の言うことを素直に聞き、よそのおうちにお泊りをする姉を羨ましがる妹。 よくある家族像だった。 このゆっくり霊夢の家族は母ゆっくり霊夢に、ゆっくり霊夢、妹ゆっくり霊夢の三匹だった。 出産環境が劣悪だったせいか、母体になったつがいのゆっくり霊夢から生えた蔦には未熟な実がいくつか 成ったが、しっかりと生れ落ちたのは二匹だけだったのだ。それでも片方は未熟児だったが。 しかし朽ちたゆっくり霊夢の黒ずんだ死骸は二匹の子の最初の栄養となり、その血肉のなかに脈打っている。 母ゆっくり霊夢は、つがいのゆっくり霊夢の、文字通り化身とも言える二匹の姉妹をとてもゆっくりと大事に 育て上げていた。ゆっくり霊夢は健康そのもので、すくすくと育ち元気に野原を駆け巡り、今では母と一緒に 十分な餌をとれるほどになった。 もしかすると巣を出るなどと言い出すかもしれないが、それもまたひとつの生き方だ。そのときは祝福して しっかりと送り出してやろうと、母ゆっくり霊夢は考えていた。 思えば自分も若い頃は親の庇護から飛び出し、この平原で将来つがいになるゆっくり霊夢と出会ったのだ。 愛し子であるゆっくり霊夢にゆっくりした未来がありますように。 そうして母ゆっくり霊夢は、もうひとつの愛し子、目の前でゆぅゆぅとしている妹ゆっくり霊夢を見る。 生まれたのはゆっくり霊夢と一緒だったが、こちらは未熟児ゆえに発育が悪いのだ。もうしばらくゆっくりと 母ゆっくり霊夢が育てる必要があった。 外は夜の帳も落ち、そろそろゆっくり眠る時間だ。妹ゆっくり霊夢を巣穴の入り口から守るように身を寄せる。 お互い肌をすり合わせて、眠気を誘う心地よい震えが全身をゆっくりと包み始めた。 「ゆぅ~~、ゆぅぅ~~~」 妹ゆっくり霊夢はすでに半分眠っていた。母ゆっくり霊夢はそのゆっくりとした様子を微笑みながら優しい眼差し で見つめ続けて、体を揺らしていた。 やがて母ゆっくり霊夢にも眠気がやってきた頃に、それは来た。 「う~、おまえのすのばしょはまりさがはいたんだどぅ~♪」 「!?」 ゆっくり霊夢はじめじめとした狭い場所に押し込められていた。ここはゆっくりれみりゃの食料庫で 岩肌にあいた穴にそれぞれさまざまなゆっくりたちが無理やり押し込められていた。 ゆっくり霊夢、ゆっくり魔理沙、ゆっくりぱちゅりー、ゆっくりさくや、ゆっくりめーりん。他にも ゆっくりみょんや、ゆっくりちぇんと、種類も大きさもまちまちなゆっくりたちが穴に納まっている。 特筆すべきは、そのどれもが生きているということ。 ゆっくりれみりゃは、食事と遊戯を一緒に行う傾向があるのだ。さんざん弄び、傷つけ、恐怖を植えつけ、 自身の暴力を味わわせた後に、ゆっくりとそれらを食す。 餌を壊す感触と、耳を振るわせる悲鳴と嗚咽、傷つく皮とそこから噴出す餡子が目を楽しませ、ゆっくり れみりゃの食事をより一層味わい深いものにするのだった。 「ど、どおいうごどぉおおおおぉぉぉっ!!!」 「たすけてやるかわりにいわせたんだっどぉ~~」 このゆっくり霊夢はうーぱっくに食べられる運命にあった。 だがしかし、絶叫と共に飛び出た「家族」という言葉がそれを変えた。ゆっくりれみりゃがその家族ごと 食べてやろうと考えたのだ。 しかし一向に巣の場所を言おうとしないので、この場所に安置しておいたのだ。 「あのまりさはとけるより、おまえをうるほうをえらんだっどぅ~~~♪」 「ゆぅううぅぅ」 「ばかなやづだっどぉぉお☆」 「ゆあぁあぁあぁああぁぁぁっ!!!」 「いまごろまりさはかぞくとゆっくりしてるんだどぉ~~」 「ゆぎゅううううう」 「おまえはかぞくとここでくわれるんだど~~~☆」 「ゆぐぁああぁああぁあ!!まりざあああぁああああああ!!!」 「かぞくがそろったら、いっしょにくってやるんだどぅ~~♪」 そう言うと、ゆっくりれみりゃは近くの窪みにはまっているゆっくりみょんを掴み取った。 「ち、ちんぽ~~~」 「こうやってくってやるんだど~~」 「きょせいっ!?」 そのままがぶりとやった。ゆっくりみょんは白眼を剥いて痙攣している。それを二口で食べてしまった。 「ああ、あああ、あああああ!!!」 「おもしろいかおなんだどぅ~!ゆかいだどぉ~~~♪うっう~、うあ♪うあぁ♪」 やがて、家族がそろったのかゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに引き摺られてあの広間へと来ていた。 「ゆっくりはなしてね!」 「ゆっきゅりはなちちぇにぇ!!」 そこには案の定、ゆっくり霊夢の家族がいた。 羽ばたいているゆっくりれみりゃに咥えられていて、うかつに暴れようものなら地面へと落下してしまう。 二匹には抵抗のしようがなかった。 だがそれだけではなかった。 その場所には他にもゆっくり魔理沙の家族もいたのだ。 「ゆっくりおろしてほしいんだぜ!まりさはおいしくないんだぜ!!!」 「ゆっきゅりおろしゅんだじぇ!」 「ゆぅううぅぅっ!?どうじでなんだぜ!?どおじでまりさのすをおしえたんだぜ!れいむううぅぅぅぅっ!」 その叫びはゆっくり霊夢のお友達のゆっくり魔理沙のものだ。 「まりさがさいしょにうらぎったんでしょ!!れいむはしってるんだよ!れいむのすをおしえたって!!!」 ゆっくり魔理沙の言葉に、怒りをあらわにしてゆっくり霊夢は声を荒げた。 「まりさなんかとけちゃえばよかったんだよ!!どおじでれいむのすをしゃべったの!?」 「し、しらないんだぜ!まりさはなにもいってないんだぜ!!」 「じゃぁどおじでれいむのかぞくがこんなどごろにいるのおぉぉおっ!!!」 「れいむがまりざのずをしゃべるからだぜえええぇええぅ!!!」 ゆっくり霊夢の追求に、ゆっくり魔理沙の絶叫が重なる。 「ぞんなのまでぃざがれいびゅのじゅをじゃべるがらでじょおおおおおお!!じがえじだよっ!!」 「だからじららいっでいっでるんだぜえええええっ!!!ひどいんだぜぇぇ!!」 泣きながら言い争う二匹を、周りのゆっくりれみりゃたちはにやにやと笑いながら眺めていた。 ゆっくりれみりゃはこの二匹をはめたのだった。 お互いがお互いを裏切ったと思い、復讐に お互いの巣の位置を喋ったのは、ゆっくりれみりゃたちにとって愉快の種だった。 「じゃぁどおじでれいびゅのかじょくがごごにいりゅのぉおおっ!?」 「れみりゃが、れいみゅがまでぃじゃのじゅのばじょをいっだっでいっだんだぜ!!」 「まりしゃがれいびゅのしゅをおしえたっでぎいだよぉお!!」 「うーうー!」 そんな言い争う二匹をよそに、うーぱっくがゆっくりれみりゃになにかをうったえた。 「う~!そろそろでなーだどー!」 「うーうー!うあうあ~~~♪」 「うーぱっくはれいむとまりさをたべるといいどぉ~」 「れみりゃはちっちゃいまりさをいただくんだっどーー☆」 「じゃぁれみりゃはおっきなれいむをたべちゃうぞ~~~♪」 「やめちぇね!おいちくないちょ!!やめてっていっちぇるにょにぃ!!」 「こっちはおいちくないいだじぇ!まりしゃはどくなんだじぇ!!ちんじゃうんだじぇ!!」 「やべでええぇえぇっ!!そのこがなにじだっていうのぉおおぉぉっぉっ!!」 妹ゆっくり霊夢はゆっくりれみりゃに握り締められて、中身を漏らした。ゆっくりれみりゃはそこから ゆっくりと中身を吸い上げていく。じゅるじゅると音を立てて萎んでいく妹ゆっくり霊夢。 中身と一緒に元気を吸い取られているようだった。 母ゆっくり霊夢は叩かれ殴られ、千切られて止むことのない悲鳴をあげ続けて食われた。少しでも声を 上げることをやめると苦痛を与えられるのだ、最期には口の下あたりが自然と裂けていた。 ゆっくり魔理沙の家族たちも体中を弄ばれて、痛めつけられながら食べられている。 「れいむのばがああぁぁぁつ!!おまえがうーぱっくなんがにのるがら゛っ!!」 「ぶぎゃっ!までぃざだってのっだでっじょっ!?!?」 うーぱっくに乗せられてもなお、罵声を浴びせあっている二匹。 その体はぐずぐずに蕩けていてもう満足に動くことは出来やしない。 もはや眼と口を動かしてその意識を失うまで緩慢な痛みに身を委ねるしかない状態になってしまった。 二匹にとって幸いなのは、傷みがほとんどないことだろう。 きっといつ自分が死んだのかもわからないほどゆっくりと食べられるに違いなかった。 ここは、広大なゆっくり平原。 森に行けば優しい風が木々を揺らし、耳ざわりの良い音楽を葉が奏でるゆっくり名所のひとつだ。 そんな心地よい音に混じって声が聞こえてくる。 どこか畏れを含んだような、何かを知りたがっているような、そんな声。 「うー♪」 「ゆゆ?……乗せて、くれりゅの?」 「うぅ~~♪」 「ふわっ!しゅごいしゅご~~~い!!おしょりゃをとんでゅぇりゅにょぉおおお~~♪」 終わり。 後半失速してしまった。 狩りの時、うーぱっくは体付きのゆっくりゃを乗せて自由に空を駆けます。 ガンダムのドダイやゲターみたいな感じなのですw 飛行速度:ゆっくりふらん≧ゆっくりれみりゃ>うーぱっく>ゆっくりれみりゃ(体つき) 著:Hey!胡乱 このSSに感想を付ける
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俺は虐待お兄さん。最近、ゆっくり虐待のために大枚をはたいてあるアイテムを購入した。何でもゲーム用の機械らしい。俺はしばらく機械を検分し、その大まかなところを理解した。 さあ、今日も張り切って虐待だ。 ゆっくりぴこぴこ 透明箱の中では、れいむとぱちゅりぃがゆっくりできずに飛び跳ねている。 「むっきゅうううううん!!」 「ぜまぐてゆっぐりできない!!おうちかえる!!!!」 俺は二匹の前に姿を現す。 「おにいさん!!はやくれいむをここからだしてゆっくりさせてね!!きこえないの?ばかなの?しぬの?」 「ぱっちゅはからだがよわいのよ!!いたわってあげてね!!むきゅ!!」 一切取り合わない。時間の無駄だ。用件だけを告げる。 「今日は君達がゆっくりできるものを持ってきてあげたよ」 とり出したるは、大きな箱(テレビというらしい)と小さな箱(スーパーゆミコン)。 まずテレビの電源を入れる。すると箱がぶうんと音を立て、表面が黒い光を放つ。 「ゆゆっ!!」 「すごいわ!ぶんめいのあけぼのね!!」 お前に文明の何がわかるのかと。 さらに、ゆミコンを操作する。箱の表面に開いた穴に、ゲームのカセットを差し込む。それからボタンを押す。 テレビが鮮やかな色彩を映し出し、音を奏でる。その表面に浮き出た文字は―― <<ゆイナルファンタジー4 イージーモード>> 「おにいさん!!これなに!?すっごくゆっくりできそうだよ!!」 「きれいだし、すっごくちてきこうきしんがそそられるわ!!」 落ち着かない素振りでぴょんぴょんと飛び跳ねる二匹。 「これを使って操作する」 俺は小さな箱から伸びたコントローラーを、透明箱の餌穴から中に入れてやる。 「押してみて?」 「いわれなくてもわかってたよ!!ゆっくりとびのるよ!!」 れいむが飛び跳ねて端末の上に着地する。その圧力で端末のボタンが押される。 ぴっ。画面が切り替わる。 <ゲームスタート> 「ゆゆーん!!」 「すごいわれいむ!!そのちょうしよ!!」 「ぴっこ、ぴっこ……しあわしぇーーー!!」 俺は大体の操作を説明してやり、ゆーゆーむきゅむきゅとはしゃぐ二匹を置いてその場を離れた。 ゲームは既に俺が一度クリアしている。簡易な筋書きに加え、おまけとしてもらった別の道具(プロアクションゆプレイ)によって、主人公の能力値のすべてを最大に調整してある。これなら超簡単。ぱちゅりぃ程度の考えがあればクリアできないことはないだろう。 「こんなもんすたー、れいむのてきじゃないよ!!ゆっくりしんでいってね!!」 「むきゅううううん(嬉)!!!!」 壁越しの声に一瞬イラっとした。どうせこうげきコマンド連打してるだけだろお前……。 数日後。 「ゆっくりやったよ!!!」 「むきゅ!むきゅ!」 俺は一際大きいゆっくりの声で目を覚ました。 「やったのか……っ!?」 俺は部屋へと踏み込む。 テレビからは間違いなく、テストプレイの際に俺が見たのと同じ、大団円の結末が流れていた。 「ぜんぜんかんたんだったわ!!」 「ゆっくりぃぃぃ!!!」 二匹のゆっくりはここ数日、夢中になって遊んでいたおかげで餌も少ししか食べていないし寝てもいない。 若干やつれた表情でこちらに向き直る。 「おにいさんありがとう!!すっごくゆっくりできたよ!!」 「それは良かったね」 「たんじゅんだけど、それなりにきょうみぶかかったわ、むきゅ、むきゅ」 「とりあえずお休みなさいな」 休憩を取らせ、俺は次のゲームをセットする。 <<ゆラゴンクエスト>> さらに数日が経過した。 今度は前のゲームほど手ぬるくはない。ゆっくり達は泣き、叫び、時に餡子を吐き出し、地団太を踏みながら、やっとのことでその場面――ゲーム最終盤の選択肢までたどり着いた。 俺は物陰に息を潜めて、ことの次第を見届ける。 *「よくきたな ゆっくりよ。わしが おうのなかの おう りゅうおうだ。 *「わしは まっておった。 そなたのような わかものが あらわれることを… *「もし わしの みかたになれば せかいの はんぶんを ゆっくりに やろう。 *「どうじゃ? わしの みかたに なるか? 」 れいむが箱の中の敵の親玉を威嚇するようにふくれっつらをする。 「ゆゆっ!!そんなのとんでもないよ!!せかいはぜーんぶれいむとぱちゅりぃのゆっくりぷれいすだよ!!かんちがいもいいかげんにしてね!!」 やばい!このままでは―― そう俺が戦慄したとき、ぱちゅりぃがれいむに異議を唱える。 「まってれいむ!!よくかんがえるのよ!!」 「かんがえるまでもないよ!!べぎらまーでいちころだよ!!」 俺ははらはらしながら見守る。 「いいこと。ゆっくりはここまでたいへんなきずをおっている。えむぴーもすくないわ。 いくらゆっくりがさいきょうのゆうしゃといっても、こんなつよそうなのとたたかってまけたらいちだいじよ!!」 そりゃ一大事に決まってる。何しろこいつらセーブしないでぶっ通しなんだもん。俺?教えてやらないけどな!! 「ゆゆ!やりなおしはいやだよ!だけどかてばもんだいないよ!!」 「きけんなぎゃんぶるはしないのよ!ここは、せかいのはんぶんでゆるしてあげるのよ!!」 ぱちゅりぃの提言に不満そうなれいむ。しかし、ここまでゲームを進めることができたのはぱちゅりぃの助言があってのこと。 渋々といった感じで、ぱちゅりぃの言葉を受け容れる。 「ゆ……わかったよ、はんぶんでゆるしてあげるよ!!」 ヤ ッ タ ー ! ! ! ! ! ! ! ! 俺は内心の喜びを押し隠し、物陰から歩み出る。 「おおっれいむにぱちゅりぃ、もうくりあするのか(棒読み)」 「そうよおにいさん!このげーむもあっけなかったわね!! いまやいちりゅうげーまーのぱちゅりぃにとってはねむねむすぎてあくびがでそうだったわ!! たったいま、あくのごんげとせっぱんではなしをつけたところなのよ!!」 ねむねむ過ぎるのは寝てないからだよ、うん。 もう一週間近くかかりっきりじゃねえか。 「かんだいなれいむがはんぶんでゆるしてあげるよ!!ゆっ!」 れいむがボタンに飛び乗り、選択肢を選ぶ。 ニア は い いいえ ピコッ *「ほんとうだな? *「では せかいの はんぶん やみのせかいを あたえよう! それは俺にとっては既知の展開。ゆっくり達にとっては意外な流れだ。 「ゆぅ…?やみのせかいじゃゆっくりできないよ!!ひかりのせかいをちょうだいね!!」 *「そして…そなたに ふっかつの じゅもんを おしえよう! ちにはらろ ぐうのへなふみ やりわげず げでぶ *「これを かきとめておくのだぞ。 *「おまえの たびは おわった。 さあ ゆっくり やすむがよい! わあっはっはっはっ 俺はりゅうおうと一緒に笑い出したくなるのをこらえて、ゆっくりのために復活の呪文を書きとめ、渡してやる。 「むきゅん!!なるほどね!!これをつかえばおーるくりあーなのね!!」 「さすがぱちゅりぃ!えんでぃんぐたのしみだよ!!」 一文字ずつ復活の呪文を打ち込むれいむ。 そして…… ぴこりーん。 「なんで……?」 「うぞ……なにごれ……」 れいむとぱちゅりぃは呆然とする。りゅうおうから貰った復活の呪文。それを使って現れたものはこのようなデータだ。 ステータス ゆっくり LV3 HP 20 ちから 7 すばやさ 2 かしこさ ⑨ けいけんち 8 りゅうおうの甘言にのせられたけっかがこれだよ!! 先ほどまでのクリア直前のデータからは似ても似つかない、ほとんど無価値な代物だ。 「むきゅ!こんなぱらめーたーじゃゆっくりできないわ!!おかしいわ!むきゅ!」 「あいてむなくなっちゃった?れべるもひくいよ!?なんで!?なんでえええ!!???」 混乱する二匹に、俺はダメ押しをしてやる。 「おいおいまさかりゅうおうなんかにだまされちゃったのかい?恥ずかしいなあ!! 賢いぱちゅりぃがついていながら、どうしてこんなことになっちゃったんだい?」 「ゆぎくっ……」 れいむがぴくっと身体を震わせ、怖い顔でぱちゅりぃに向き直る。 「ぞうだよ……ぱちゅりぃが!!ぱちゅりぃがはんぶんでゆるしてあげてなんていうから!!ぱちゅりぃのせいだよおおおお!!ゆぐううんんん!!!!」 「ぱっちゅはわるくないわ!!わるいのはりゅうおうよ!!」 そう言いながらも恥ずかしさに身悶えるぱちゅりぃと、いままでの時間のすべてが無為に終わったことに絶望するれいむ。 空腹を我慢し、 寝る間を惜しんで一生懸命れべるを上げ、 操作をミスっては塔から何度も墜落し、 やっとたどり着いた結末がこんなものだなんて…… 「うそ!うそよ!!こんなのうそよ!!!むきゅうううんんんんん!!!」 「やりなおすのやだああああ!!!!ゆっぐりでぎないいいいい!!!!!」 二匹仲良く、イヤイヤと身をよじって悲しむ。 「なるほどね。ぱちゅりぃのせいで、りゅうおうもたおせず、こんなゆっくりできないれべるになっちゃったんだね? ぱちゅりぃはばかなの?しぬの?」 「むっきゅーーーー!!!いわないでぇーーーーーー!!!」 「ゆああああああんんんんん!!!!」 しかし、驚くべきことにぱちゅりぃはへこたれなかった。 三日三晩泣き通したあと、燃える闘志を餡子に秘め、けなげにもふたたび立ち上がったのだ。 「むきゅ、むきゅ……れいむ、めいよばんかいのちゃんすをちょうだいね!! おにいさん!!こんなくそげーじゃなくてもっとぱっちゅにふさわしいのをさせてちょうだい!!」 俺は感動のあまり目元に浮かんだ涙をふき取る。 「わかったよ、次は頑張るんだぞ。あと、その前に少し寝れ」 ぱちゅりぃとれいむの次なる挑戦のために、俺はゲームを吟味する。 経験を積んだ二匹には今までのようなゲームでは手ぬるい。ぱちゅりぃも簡単すぎてあくびが出たって言ってたし。 真のゆっくりを味あわせてあげるには、やっぱりそれなりに(Lunatic的な意味で)手ごたえのあるゲームじゃないとね。 「よしっ!これだ!!」 その後、二匹が餓死寸前まで<<ゆぺランカー>>に挑戦する羽目になったのは言うまでもない。 おしまい □ ■ □ ■ あとがき 背景世界への知識が足りず、テレビ、電気の有無等が曖昧になってしまいました。もっと勉強せな…… 読了ありがとうございました。 過去に書いたSS 豚小屋とぷっでぃーん 豚小屋とぷっでぃーん2 エターナル冷やし饅頭 れみりゃ拘束虐待 無尽庭園 ゆっくりできない夜 このSSに感想を付ける